“Ginger & Rosa”, Sally Potter, England, 2012 二人の女の子はずっと仲良く育ち、その叙情的な映像の連続にはため息をつかされる。時代は戦後の、核戦争の恐怖が叫ばれていたころで、とくにジンジャーが平和運動にのめりこむ。この二人の女の子が強く結ばれ…
“Las buenas hierbas(グッドハーブ)“、Maria Novaro, 2010, Mexico 植物学者である母ララに娘のデリア、シングルマザーでコミュニティラジオで仕事のようなものをしている。それに幼い息子のコスモ。母と娘は独立しつつ生きて、しっかり威厳を守っていたが、…
“The Door”, István Szabó, 2012, Hungary イシュトヴァーン・サボーは、ハンガリーが誇る映画監督であり、印象的な大作を発表してきた。しかしここ数年、その名を聞くことがなかった。6年ぶりの作品である。じつは6年とちょっと前に体制のインフォーマン…
“7 Days in Habana(ハバナの七日間)“、Julio Médem, Laurent Cantet, Juan Carlos Tabío, Benicio del Toro, Gaspar Noé, Pablo Trapero、Spain, France, 2012 スペイン語圏でも著名な七人の監督による、ひとつのストーリーを基にした共作であるが、それは自…
“Stand Up Guys”, Fisher Stevens, 2013, U.S. ひさしぶりのアル・パチーノ。しかし長い間の監獄暮らしの姿はなんともくたびれた感じで、すべての感興はそこで色あせたという感じ。ギャングとその復讐譚であり、味付けもやや古臭いがどうにも冴えたところが…
Le Hérisson(はりねずみ)“、Mona Achache、France,2009 パロマという思春期のパリの女の子はお金持ちの家庭で、なにも不自由することもないのに自殺することしか考えていない。そしてビデオカメラを回すのも趣味でまわりのあれこれを撮影する。住まう建物の…
“Cosmopolis『コズモポリス』”, David Cronenberg, France/Canada, 2012 米国の億万長者が夜のマンハッタンを豪勢な車で運転手とまわりながら、いくつかの出来事に遭遇。もちろん、億万長者にも予定があり、それを達成するべき動くが、偶然に出会ったひとた…
« Des vents contraires », Olivier Adam, 2009, France パリに住んでいた大学の先生である奥さんと物書きの夫、それに二人の小さい子どもは、とつぜん、奥さんの失踪という事態をむかえる。 しかたなく生まれ故郷の海の近くの町で自動車教習講師で暮らすこ…
“La Playa DC(DC海岸)”, Juan Andrés Arango, 2012, Colombia メキシコにかぎらずコロンビアなどラテンアメリカ、より多くのひとびとが不況と失業などに悩む。とりわけ若いひとたちは仕事もなく、いかに生きていくのか四苦八苦。ボゴタ市のマージナルな地域…
“La vida sin memoria parece dulce...(記憶のない暮らしは甘そうだ)“, Iván Ávila Dueñas, 2013, Mexico 1930年代からメキシコのサカテカス州にて撮影された8ミリカメラなどの映像資料をもとに、当時の暮らしを再現すべき構成されたドキュメンタリー。…
“KLIPS”, Maja Milos, 2012, Serbia ユーゴスラビア解体後のセルビアやらボスニア、あるいはコソボなどの紛争はよく知られているものの、では実際、どのようなことがどんな展開をもって終始したのかと問われると、よほど関心を抱いているひとたちを除けば答…
“On the road(路上)”, Walter Salles, 2012, Brazil, France ビート世代ジャック・ケルアックの代表作、その映画化はながいこと挫折してきたが、コッポラの製作の下、あのブラジルの監督によって達成される。メキシコの古き良き時代のシーンをはじめ、あり…
“Faust”, Alexander Sokurov,2011, Russia この監督の作品を見るのは初めてだし、古典中の古典。意気込んで見る。原作も邦訳で読んだことがあるが、あまりよくわからず、ドイツ語の専門家に訊いたら、注釈書がないとあまりわからないものだとか言う。とにか…
“Abolicion de la propiedad(資産の廃棄)“、Jesús Magaña、2012、Mexico 原作は、メキシコのニューウエーブと呼ばれる世代の代表者による作品、いかにものタイトルで興味津津。しかしその内容は、家庭での若いカップルによる対話で、シンプルかつ…
“Post Tenebras Lux(闇のあとの光)“、Carlos Reygadas、2012、Mexico いまや若くしてメキシコを代表する監督としておさまったひとによる作品。都会を離れていなかに移り住んだ若い家族が、とりわけ二人の子どもの生き生きした表情を追いつつ、友人や近所…
“Holy Motors(ホーリーモーターズ)”、Leos Carax、2012、France この作品ではパリの夜を、さまざまな人物を通して描こうと試みるが、その人物たちとは夢のなかの世界のようにおぼろげでなによりもカオスにみちていて、そのイマジネーションへの解…
“Love Is All You Need”, Susanne Bier, 2012, Denmark 結婚式をあげるばかりだった若いカップルが、自分たちに偽りを見出し、突然、結婚を破棄し、周囲を混乱に陥れる。一方、デンマークからイタリアの会場に移ってきた新郎の父親と新婦の母親が恋に陥り、…
“Memoria de mis putas tristes(わが悲しき娼婦たちの思い出)、Henning Carlsen、2011、Mexico 事実上のガルシア=マルケスの最後の小説の映画化。しかし老いた文化人が幼い女の子に恋をし、交わってしまうという話は現在のメキシコにはあまりにも…
“El sueño de Lu(ルーの夢)”, Hari Sama, 2011, Mexico かつてはクラシック創作ギターの名手であったル―は幼い息子を亡くしてからというもの、生きる気力を失っていた。やっと生きていくのが精一杯。おなじように息子を亡くした母親の会にも出てみると、心痛…
“Chiapas. El corazón del café “、Alejandro González Padilla、2012、Mexico. メキシコもコーヒーの産地であり、おもにベラクルスとチアパスが有名。しかしチアパスのコーヒーは19世紀に頑固なイギリス人の破天荒な努力が実ったもの。この主人公の苦…
“Elefante blanco(白い象)”, Pablo Trapero, 2012, Argentina ラテンアメリカの大都市の周辺部では多くのスラム街が形成され、非人間的な環境のもとで暮らすことを強いられる。一方、カトリック神父には放縦で保守的でしかないものも多いが、人々のことをじ…
“ルシアのあとで“、Michel Franco, 2012, Mexico イジメというのは世界中で問題になっているが、むかしは陰惨さがなくて単に肉体的なものにすぎなかった。しかも小学や中学、高校もいくらかありえるが、大学教育においてイジメがあるとは、すくなくともニホ…
“The Sessions”, Ben Lewin, 2012, U.S. 小児麻痺によって全身を動かすことができない中年の男はいつもヘルパーさんに囲まれているが、ひとりのヘルパーさんに恋したことから性の経験を持ちたいと望むにいたる。そんな希望を担当のカウンセラーが聞き、その…
“La délicatesse”, Stéphane Foenkinos & David Foenkinos, 2011, France あの「アメリー」のオドレイ・トトゥが主演。建築系会社にて仕事にはげむナタリーはすべてが幸せのなかで生きていたように思えたが、夫の突然の死によってすべてが疑わしくなる(しか…
“Comme un chef” シェフ! 〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜, Daniel Cohen, 2012, France. ニホン人はもともとフランス料理に弱い。ニホンでもフランス料理レストランといえば格が高いし、パリとかへいけば、まさにステイタスそのものである。しかし…
“The master(ザ・マスター)”, Paul Thomas Anderson, 2012, US. あらゆる戦争からの帰還兵というのは心の病を抱えているもので、それはヴィエトナム戦争においてクローズアップされたが、じつは朝鮮戦争にもあったことを示す作品があり(「マリアの恋人」)…
「男と女」などで有名なジャン・ルイ・トランティニャン、およびヒロシマをあつかった「二十四時間の情事」のエマニュエル・リヴァの姿をひと目見たいとわたしは思った。 さらに老齢での愛の姿がそこに描きこまれているにちがいない。しかし、はじめこそは甲…
“Where Do We Go Now?“、Nadine Labaki.、2011、France, Lebanon. キリスト教徒とイスラム教徒とが交り合うレバノンの村においては衝突が歴史を通して繰り返され、とりわけ女たちはうんざりしている。ふたたび死者が出たことにより衝突が予想されたため…
“A Dangerous Method(危険なメソッド)“、David Cronenberg、2011,Germany & Canada ヒステリー患者サビーナをめぐるユングとフロイドの対立はよく知られていて、後に心理分析上で双頭たる位置を築く二人の対立と葛藤が描かれる。もちろん史実に則っているわ…
“Detachment”, Tony Kaye, 2011, U.S. 高等教育の場というのはいまの社会のなかでもっとも問題が現出している現場のひとつである。ほとんど大人であるかれらは知識以上のものを求めているが、欲しているものを得られることは少ない。そんな現場を欠員があっ…