2008-01-01から1年間の記事一覧

オランダ映画「ブラックブック」(2006)

・「ブラックブック」、ポール・バーホーベン、2006、オランダその他ドイツ・ナチ軍がヨーロッパ各国を侵犯していく。 しかし、どの国においてもレジスタンスが存在した。 ユダヤ人が、コミュニストが、あるいはナショナリストたち、かなり幅広い層が。 …

中国映画 “Luxury Car”(2006)

・ “Luxury Car”、Chao Wang(王超)、2006、中国・フランス 疲れて頬もこけて疲れた男が上海にたどり着く。 都会にて蒸発した息子を捜すために。 娘に案内されて取りあえずの宿に居つく。 停年を迎える刑事とともにあちこち探し回る。 娘は忙しく働くが…

フランス映画「パリ、ジュテーム」(2006)

・「Paris, je t'aime(「パリ、ジュテーム」)」, 2006, フランス等 パリは恋と愛の街ということになっている。 しかしながら、わたしは書籍と映画でしか知らないが、それほど単純なものではないはず。あらゆる要素がうごめいているし、それにいわゆるパリ…

アルゼンチン映画(「Momentos robados(「盗まれた時」)」(1997)

・”Momentos robados", Oscar Barney Finn, 1997, アルゼンチン アルゼンチン版今様エンマ・ボバリーなり。 地の果て、パタゴニアの田舎町にてレティはまだ若く、夫の町医者よりは二十歳ちかく年下であったような感じ。 この夫婦、ふたりともわけあって、こ…

インド映画「Water」(2005)

・「Water」、Deepa Metha, 2005, インド、カナダ 監督はカナダ在住で、Earth, Fire、につづく三部作で、その過激な内容でかなりのリアクションを生んでいるとか。 30年代のインド。小学の低学年あたりで幼年結婚させられ、見ぬ相手の死亡によって「未亡人…

イギリス映画「Trainspotting」(1996)

・「Trainspotting」、ダニー・ボイル、1996、イギリス 前から気になっていた作品だが、ヘロイン中毒連中の青春交情記だとは知らなかった。 それこそクセのある連中がからみあう。しかし、すべてはヘロインをめぐって。そこに主人公は、生き方を変えてみ…

キューバ映画「Guantanamera」(1995)

・「Guantanamera」、 Tomás Gutiérrez Alea、Juan Carlos Tabío、1995、キューバ、スペイン 伊丹十三に「お葬式」という作品があったが、これはさしずめ、キューバ版「お葬式」。 埋葬に官僚主義がからんでくる。そこに、死にかぶさるようにしてラブス…

イタリア映画「赤い砂漠」(1964)

・「赤い砂漠」、ミケランジェロ・アントニオーニ、1964、イタリア アントニオーニは、60年代を見事に描いた監督であった、と言い切るとカッコよく見える。 わたし自身、そのいくつかは観て、ほかのいくつかは観てはいないのだが。 太っ腹で陽気なイタ…

フランス映画「Le tempe qui reste(「ぼくを葬(おく)る」)」(2005)

・Le tempe qui reste(「ぼくを葬(おく)る」)」, フランソア・オゾン、2005、フランス 告知されて何を想うか。 取り乱すのが当たり前。泣きもする。 それでも、ガンはよりポピュラーになりつつある。 以前は「なんでこのおれが。。。?」と声につま…

ハンガリー映画「Fateless(Sorstalansag)」(2005)

・「Fateless(Sorstalansag)」, Lajos Koltai、ハンガリー、イギリス、ドイツ、(2005) ノーベル文学賞をうけたハンガリー人、イムレ・ケルーテスの作品の映画化。 この作品は、いわゆるホロコースト文学へのアンチテーゼともいえるもの。 フランクルも…

フランス映画「Gregoire Moulin contre l'humanite」(2001)

・「Gregoire Moulin contre l'humanite(「グレゴアル・ムーラン対人類」)」 Artus de Penguern、フランス(2001) 主人公たるグレゴアルは、不遇な生まれ。神経症気味なこの男の幼時がまずおもしろおかしく語られる。 グレゴアルは、中年になりかけて…

米国映画「The Reaping」(2007)

「The Reaping」Stephen Hopkins,米国(2007) 主演はヒラリー・スワンク。 聖書に基づいた話であり、その奇蹟やら信仰にかかわってくるらしい。 しかし予備知識もなにもなく観たわたしは、かやの外であった。 冒頭、米国の大学の理系の研究者、社会活動家であ…

米国映画「Monster house」(2006)

「Monster house」Gil Kenan,米国(2006)シネテカのマチネにて、「Monster House」を見る。 米国、2006年製作。監督はギル・キーナンとかいうひとだが、スピルバーグが関わっている。 小学の高学年の男の子ふたりに女の子ひとり。 CGがうまいのは…

イギリス映画「Notes on a scandale(「あるスキャンダルの覚え書き」)」( 2006)

・「Notes on a scandale(「あるスキャンダルの覚え書き」)」Richard Eyre、イギリス(2006) アカデミー賞にも上っていた話題作。しかし、いったい何のスキャンダルなのかも知らないまま(意図的に)、観る。 女教師と生徒との絡み、というのはめずらしいが…

イギリス映画「Copying Beethoven(「「敬愛なるベートーヴェン」)」(2006)

・「Copying Beethoven(「「敬愛なるベートーヴェン」)」Agnieszka Holland、イギリス・ハンガリー(2006) ベートーヴェンの実像はどうだったのか。苦悩のみであり、なにを糧にして生きていたのか。俗人たるわたしたちには、よくわからないことが少な…

スペイン映画「Alatriste」 (2006)

・「Alatriste」 Agustin Dias Yanes, スペイン・フランス・米国 2006 スペインでは有名な「剣豪」小説シリーズが映画化。壮大な歴史絵巻。17世紀のスペイン、および北方の諸国。 歴史的背景としては、強大なスペイン帝国に陰りがさし、北方のプロテスタン…

米国映画「As good as it gets(「恋愛小説家」)」(1997)

「As good as it gets(「恋愛小説家」)」ジェームズ・L・ブルックス 、米国(1997) このタイトルの映画、もちろん聞いたことはあった。どんな作品なのかな。でも、見る機会がなさそう。そうずっと思っていた。 でもこれじゃ、分かるわけないじゃんか…

米国映画「Shortbus」(2006)

・「Shortbus」 John Cameron Mitchell、米国、(2006)NYの物語ではあるのだけど、たとえばスコセーシの描くNY,あるいはオースターの描くものとも異なっているのは、それがポスト9/11ということをとりわけ意識しているからなのか。 もったいぶ…

ドイツ映画「DAS LEBEN DER ANDEREN(「善き人のためのソナタ」)」(2006)

・「DAS LEBEN DER ANDEREN(「善き人のためのソナタ」)」フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 、ドイツ(2006) 組織、体制のなかの個人、ありえるならば、個人の良心とはどんなものなのか。繰り返し語られてきた。 組織のなかで個人が目覚…

米国映画「The Fountain」(2006)

・”The Fountain(「ファウンテン 永遠につづく愛」)", Darren Aronofsky, 2006、米国 スペイン語タイトルは「命の泉」。 異端審問やら、聖書の智慧の樹、はてはマヤの死生観、永遠の生、すべからく壮大なスペクタクル。ニルヴァーナへの世界にまでいた…

メキシコ映画「Dollar Mambo」(1993)

・”Dollar Mambo", Paul Reduc, 1993, メキシコ フリーダの本篇(セルマ版ではないやつ)を撮ったポール・レデュック。 カルペンティエルのバロック協奏曲の映画化でも有名(”バロック”)。ジョン・リードのメキシコ体験なども描く。 しかしこのいわばカルト…

韓国映画「弓」(2005)

・「弓」、キム・ギドク、2005、韓国 このあいだ、「春夏秋冬そして春」を観た。今日は「弓」。それで調べてみると、あらま、「サマリア」もおなじ監督だったんだ。 かなりポレミックな作品。倫理的な次元はさておき、シンボルとサインで充ちている。ヨ…

邦画「リリイ・シュシュのすべて」(2001)

・「リリイ・シュシュのすべて」、岩井俊二、日本、2001年 15歳の少年、少女には何でもできてしまうのだろうか。 たとえば、いちご同盟、のように。あるいは、海辺のカフカ、とか。または、わたし自身も15歳の少年の話を綴ったことがあるけれど。 北関東…

イギリス映画「The Last King of Scotland(「スコットランドの最後の王様」)」(2005)

「The Last King of Scotland(「スコットランドの最後の王様」)」、ケヴィン・マクドナルド(2005)アミン、ウガンダのアミンのことは誰でも知っている。かつての、アフリカでの有数の独裁者。 しかし、具体的にどういうことをしたのか。ウガンダとは…

米国映画「Letters from Iwo Jima(「硫黄島からの手紙」)」(2006)

前にも触れたことがあると思うけど、太平洋海域にて亡くなったニホン・帝國・軍人は、戦闘によるのでなく、餓死したもののほうが多いということ。 言いたいひとに言わせると、あの戦いは、ニホンが飢えないためだとかいうことであったが、どっちみち飢えるこ…

米国映画「The OH in Ohio」(2007)

・”The OH in Ohio”、Billy Kent, 2007, 米国 リッチにハッピーに暮らしている女にも悩みがある。 オルガズムに達したことがない。 いわゆる不感症というものに分類されるひとはどのくらいいるものだろうか。理由もさまざまだと思われるが。 それをいかに克…

韓国映画「春夏秋冬そして春」(2003)

「春夏秋冬そして春」、キム・ギドク、2003年、韓国・ドイツ 人里はなれた山の奥の湖のまんなかにお堂があり、中年の僧と見習いの少年僧(おそらく六歳になったかならないか)が修行を勤める。歳のわりには際立った少年僧であるが、生きものに重しをつけ…

オーストラリア映画「Innocence(「もういちど」)」(2000年)

・「Innocence(「もういちど」)」、Paul Cox, 2000年、オーストラリア 「コレラの時代の愛」のオーストラリア版か? クレアとアンドレアスは青年期に純愛につつまれていた。しかしアンドレアスの父親の機嫌によってか、離れ離れになってしまう。 偶然…

米国映画「Borat」(2006)

Borat : Cultural Learnings of America for Make Benefit Glorious Nation of Kazakhstan ”、Larry Charles, 2006, 米国 とんでもない映画、というべきか、悪趣味すれすれ、いや、悪趣味そのものか。 直訳すると「ボラット:栄光なる国家カザフスタン共和国…

スペイン・メキシコ映画「El laberinto del fauno」(2006)

・“El laberinto del fauno(「牧神の迷宮」)”, ギジェルモ・デル・トロ、メキシコ・スペイン、2006 スペイン内戦下、苛酷にゲリラの討伐を試みる側と、その内部で工作を試みるひとたちの戦い、というか、心理戦。その合間に、女の子はサテュロスの導く…