イギリス映画『あなたを抱きしめる日まで』(Philomena), スティーヴン・フリアーズ,2013 イギリス
『あなたを抱きしめる日まで』(Philomena), スティーヴン・フリアーズ, イギリス
例によって無垢状態で見てあまり期待はしていなかったがテーマ自体が大いなるスキャンダル性を帯びているほかに数奇な話をこれほどまでのナラティヴの発展へと導く技術に感心。
カトリック教会の偏狭さは、例外がいくらでもあるにしても、歴史を貫いているのだろう。
各人物像の形成がしっかりしているので、すべてがくっきりと描き出されるという印象。
あまりニホン人の関心は引かないようなテーマに見えるが。
"Philomena"(2013) of Stephen Frears、U.K.
About Irish Catholic scandal. More than its content I liked narrative style. There is an unexpected development, and in spite of a sober story,I admired the intricate reality.
ニホン映画「犯された白衣」若松孝二、1967、ニホン
唐十郎の主演で若い青年の内面の弱さ、および小集団としての女が描かれるが向こう側まで達するためにはヴァイオレンスというメタファーが欠かせない。
悪とか行為についてまで考えることもできるがそれも狙いであったのかどうか。
少年の内面こそ解き明かされるべき。
Through a kind of violence we can observe the internal visions of boy and women, its communication and discommunication. The main young actor, Juro Kara, is a future's important dramatist.
米国映画『her/世界でひとつの彼女』, スパイク・ジョーンズ、2013、米国
『her/世界でひとつの彼女』, スパイク・ジョーンズ、2013、米国
都会の孤独のなかでOSのなかで生まれた女のひと(人工知能ということ)に恋する男の話。生身の女のひととはうまく行かず(離婚調停中でもあり)ヴァーチャルとしてフィクションとしての女のひとに夢中になる。
つまりわたしたちの感情とか情緒といったものは人工的なものを対象にしてもいい、あるいはそのほうがうまく行くということなのか。
わたしたちはそれぞれをオリジナルな存在と思い込みたがっていて、たとえば自分の感情とかに絶対的な信頼を置くわけだが、それもじつは危ういもの。
とはいうもののヴァーチャルなロマンスにいったん、階級やら人種、あるいはジェンダーというコンセプトが混じってくると野心的な近未来的ロマンスの理想といったものががらがら崩れてくる。
この話はいったいユートピアかデトピアか思い悩むが、見方を変えるとその基盤も脆い。
(ところでフェリー二監督の「カサノバ」でも最後は生身の女より自動人形のほうを好むようになってしまったのを思い出す)
"Her", Spike Jonze, 2013, U.S.
With Joaquin Phoenix, a virtual romance with a lady coming into from Operation System. Two keywords would be "virtual" and "fiction". One who wishes for love can find its ideal in the center of the Operation System. So I guess our emotions or sentiments are also virtual in general. Almost I felt deprived of the real meaning of "love". And I also remember the Casanova of Federico Fellini, On that film Casanova preferred the automaton to real women.
米国映画"American Hustle(「アメリカン・ハッスル」)", David O. Russell, 2013, 米国
"American Hustle(「アメリカン・ハッスル」)", David O. Russell, 2013, 米国
おとり捜査によるサスペンス物、しかしそのチームは手際はよくても滑稽なところがあるのでヒューマンであるともいえる。とにかく騙し合いが徹底。
この手のものはあまり好きではないのだがストーリーが緻密で人物たちも明確かつ魅力的なので引き込まれてしまう。つまり脚本が綿密に書き込まれているということを示しているのだろう。70年代の音楽やファッションなどの時代背景も心憎いほど上手に利用されている。愉しめることには疑いがない。
"American Hustle", David O. Russell, 2013, U.S.
A kind of trap, in the name of the social justice, but its team was not so polished although professional in a certain meaning. Then this team got to be comic. But there would be a great game.
Usually not seen this kind of play and now I just came to know its popularity. Well elaborated and skillfully written.As a result, a nice pastime.
オーストラリア・ドイツ映画"Lore(『さよなら、アドルフ』)", Cate Shortland, 2012, Australia・Germany
"Lore(『さよなら、アドルフ』)", Cate Shortland, 2012, Australia・Germany
女の子の感性が敗戦を迎えたドイツにていかに捻じ曲げられるか、すべてを担い、どんな苦しみを背負って弟たちと森を越えて生き延びなくてはならなかったか、ただただスクリーンに釘付けにされてしまった。すぐれた映画作品しか見ないわたしであるが、これほど集中度が高く、しかも訴えてくる作品(主観的な表現になっているが)はあまりない。もちろん痛々しさも響いてくる。ことばを失う作品である。(絶賛してしまってちょっと恥ずかしい(笑))
ともかく、ナチズムの映画などはすくなからず生み出されてきたが、意外な眼のつけ所をこの作品は見せてくれる。
"Lore", Cate Shortland, 2012, Australia・Germany
After the end of the World War II, how the children, as a son and daughters of the ex-German officer, had survived after the war taking a change, in spite of hardships? Of course, the children were innocent, but had to go away, including the life's risk apart from the hunger. More than a sentiment, there was a will to survive. Just like some Japanese had to go away at their own risks from Manchuria.
米国映画"Blue Jasmine", Woody Allen, 2013, US
ウッディ・アレンの最新作『ブルージャスミン』見る。
中年セレブレディの転落ストーリーであり、いつものように神経症的トーン強し。
米国社会への風刺も上から下まで濃厚。
そんななかでもなんとか立ち直ろうとしながらもうまくいかないといういじらしさに同情するか諧謔に徹するかで見方が変わってくる。
後半のサン・フランシスコパートで、通りの壁いっぱいにメキシコのふつうの農村の暮らしが描かれた壁画が描かれていて印象的、もちろんヒスパニックの多い地域だとは思われるが。
部屋のなかにもタスコと思われるレリーフが飾ってあり監督のメキシコへの気配りを感じさせられた。
"Blue Jasmine", Woody Allen, 2013, US
Full of satires, neurotic as usual, but careful social observation about US society. Or overcoming story looking for the woman's independence. But not so easy. By the way, in the Street of San Francisco, we can watch the Mexican wall painting about the village life in Oaxaca. There was also Taxco's relief. W.Allen is interested in Mexican art, I guess.
ニホン映画「天使の恍惚」、若松孝二、1972、DVD
「天使の恍惚」、若松孝二、1972、DVD
ニホンにおいて革命の先鋭たるゲリラの爆弾闘争とその指導方針とその分裂をめぐったもの。いわゆる目的は手段を正当化するという前提で在日米軍からいかに兵器を入手するかに血眼。そんな青春がかつては存在したのだ。革命への確信もしかり。しかし今から振り返るといかにノスタルジーをそそるものか。前衛ではなく今は市民および大衆なしには何も考えられない。すると過去のことはすべて誤謬であったのか?おとぎ話のように感じてしまうこの違和感をどうすればいいのか。
"Ecstasy of the Angels"(1972) of Koji Wakamatsu in DVD.
Leadership of the radical guerrilla in Japan had a dispute. The ends justified the means looking for arms inclusive the U.S.Army in Japan, so many people still dreamed the day of the Revolution. There was a such time long time ago. So nostalgic.