2009-01-01から1年間の記事一覧
・「13 m²(「13平方メートル」)」Barthélémy Grossmann、フランス(2007) リスキービジネスに生きるジョゼ、かれは白人だが有色系のふたりの仲間と組んで銀行強盗、隠れ家としてゲットー風の13平方メートルの倉庫か物置に隠れる。 ジョゼは悪に生…
「Backyard./ El traspatios(「裏庭」)」Carlos Carrera, メキシコ(2008) 米国との国境地帯にメキシコがマキラドラという呼称で関税優遇措置を講じたのはもうずいぶん昔のことになる、半世紀ちかい前になるのではないか。 はじめは米国の企業が誘致さ…
・「Desierto adentro(内なる砂漠)」Rodrigo Plá 、メキシコ(2009) メキシコをおそった20年代から30年代の宗教戦争、クリステロス内戦が背景。 いわゆるメキシコ革命後、中央集権制がつよまるなか、カトリック教会は抗戦をはかるが、それはカトリ…
・「Mamma mia!(マンマ・ミーア!)」フィリダ・ロイド、イギリス・米国(2008) 例によってあまり考えもせず、たまたま手元にあったこの作品のDVDを見る。 イタリアン・コメディだとばかり思っていたら、アバによる偽ミュージカルであった。 諸条件も味…
・「Milk」Gus Van Sant、2008,米国 米国社会内にてマイノリティがいかに社会的公認を得ていくか。 まがりなりにも自由を標榜しているくにではあるから、闘いさえすれば勝ち取れないものはないというオプチミズムに裏打ちされていると思っていいのだろうか。…
・「Det sjunde inseglet(「第七の封印」)」イングマール・ベルイマン、スウェーデン(1957) あの中世、あの十字軍、あの黒死病。 歴史に未来はあるのか、自分に生きのびるべき未来は与えられているのか、そんな具合にすべてに懐疑的にならざるをえな…
・「Son de mar(「マルティーナは海」)」Juan José Bigas Luna、スペイン(2001) ビガス・ルナはその官能性ゆえにわりとヒットをとばしているスペインの映画監督。 しかしわたし自身、漫然と見てきたのでどれを見て、どれを見ていないかわからなくな…
・「Keiner Liebt Mich(「愛され作戦」)」Doris Dorrie、ドイツ(1996) ドイツの都市にてややはずれてる三十路ちかいおんなの子が、なんか相性のいいおとこのひととかいればいいと思う。 ややすさんだ感じの大きいマンションにて、アフリカからの黒人…
・「Perdita Durango(「Dance with the Devil」)、Alex de la Iglesia、スペイン・メキシコ・米国(1996) ペルディータとよばれる性悪な、しかしあやしい魅力のおんなと、ハビエル・バデム演ずるこれまたあやしげな強盗やらブードゥーめいた秘教の祭…
・「2046」ウォン・カーウァイ(王家衛)、香港・中国・フランス・ドイツ、2004 主人公(トニー・レオン)がすべてを語っていることになるが、じつは作中人物もひとり歩きしていて、SFのような趣もあるのかと思っていると、記憶とかが打ちだされてき…
・「Slumdog Millionaire(『スラムドッグ$ミリオネア』)」Danny Boyle(2008) 広大な多様性をふくんだインドの大地。 そしてそのひとつに、数知れない貧しい、最底辺のひとびとが存在する。 カーストによって塗り固められているとしても、それでも社会…
・「Revolutionary road(「レボリューショナリイ・ロード/燃え尽きるまで」)、Sam Mendes、米国、2008 1950年代、米国は繁栄を謳歌し、郊外にかなり見映えのいい住宅をもとめ、そこから都市へ通勤するひとがふえる。 同時に、より刺戟の多い都市で…
・「Velvet Goldmine 」Todd Haynes, イギリス(1998) グラムロック花盛りなるイギリスにてのバイセクシャル・ロックスターの話。 どうやらデビッド・ボウイとかかわりあるらしいが、そんなロックシーンの事情にはあまり詳しくないこちらは、詮索めいた…
・「The Curious Case of Benjamin Button (『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)」David Fincher、米国(2008) 時間が逆に生起して、老人で生まれ、赤子へといたる話。 すぐさま思い出すのは、アレッホ・カルペンティエールの「種への旅」という短…
・「Historias minimas」Carlos Sorin、アルゼンチン(2002) 八十歳にもなる爺さんが行方不明になった犬をもとめて三百キロも遠くの街へあぶなっかしく旅立つ(犬といえばあの「ボンボン」もこの監督の作品)。 貧しく若いおんなのひとが、赤子をつれて…
・「CHE: PART ONE/THE ARGENTINE(「チェ 28歳の革命」)」スティーヴン・ソダーバーグ、米国(2008) すでにニホンにて公開され、すくなからぬ方々もご覧になっている本作、メキシコでも昨日から公開ということで、さっそく足をのばした。 真摯で力の…
・「そして、私たちは愛に帰る(Auf der anderen Seite)」Fatih Akın、(2007)ドイツ・トルコ ドイツの老人がトルコ系のプロスティトゥータと深入りする。 じつはトルコ系でもあるこの老人は身請け同然の扱いをし、その息子、若くして大学教師をつとめ…
「Under the volcano(「火山のもとで」)」John Huston, 米国、1984米国の映画監督John Hustonがその監督生命の最後から三番目として撮った映画として「火山のもとで」(Under the Volcano)という作品がある。 ’84年の制作で、シティーの近く、永遠…
・「Lake Tahoe」Fernando Eimbcke 、メキシコ(2008) 「ダックシーズン」がわりとヒットした監督による第二作目。 前作の役者をふたりつかい、ユカタン半島のひっそりとした街にて撮影され、ほとんどパーソナルムーヴィーの印象あり。 主人公の少年が…
たとえば、フォルカー・シューレンドルフも、カタリ−ナ・ブルームの失われた名誉、ではテロリストとかかわった女性がマスコミに徹底監視されるさまを描いていた。この監督は、テロリストそのものを描いた作品も製作していて、よくもまあ、これだけ反権力の作…
・「 LA FILLE COUPÉ EN DEUX 」Claude Chabrol,フランス・ドイツ(2007) いまをときめくリュディヴィーヌ・サニエが演じるおんなの世界。 リヨンにてのお天気予報屋さんで、見栄えがよくて人気がある。 初老の作家に見初められて不倫の世界へと突き進…
・「Senki(Shadows)」Milcho Manchevski、マケドニア、ドイツ、イタリア、ブルガリア、スペイン(2007) マケドニアという歴史的、政治的にも微妙さをはらんだ国の監督による作品。 しかし、不条理的なサスペンスにみちていて、さながらコ…
ドイツのいなかにすむ老いを感じ始めている夫婦。 夫のルディが癌でそれほど先がながくないかもしれないということで、出不精の、ルーティーンのみによりかかり、新奇なことを避ける夫を妻のトゥルディが旅に誘う。 ベルリンに住む息子夫婦を訪ねたり、親交…
・「Delta」Kornél Mundruczó、ハンガリー(2008) ミハイルという若いおとこが、ドナウ河の河口あたりの町へ帰ってくる。 長い間、故郷を不在にしていてまず母親に会おうとする。 しかし母親は愛人と暮らしていて、ミハイルの場所はなかった。 し…
「Satanas」Andrés Baiz、コロンビア(2007) 実話である大量虐殺の中年の犯行者をふくめ、三人がからむ話。 もうひとりは、おんなに身をやつした中年のカトリック聖職者。 美人局のようなもので仲間と荒稼ぎするべつの若いおんな。 適当にヴァイ…
・「Torch Song Trilogy(「トーチソング・トリロジー」)」ポール・ボガート、米国(1988) ゲイのアーノルドの愛情生活を丹念に描く。 エンターテーナーとして喝采をはくしながら、おとこの遍歴をつづける。 しかしゲイのおとこ関係も異性関係とおなじ…
「El viaje de Teo(「テオの旅」)」Walter Doehner,メキシコ(2008) オアハカの九歳の少年テオは、村でまずしい楽隊を指揮する叔父といっしょに暮らしていた。 幼いときに父親は消えてしまったが、じつは監獄に留まっていたらしく、突然、目の前にあ…
・「The Stranger」Orson Welles, 米国、1946 カミュの作品の映画化だったのではないかと見始めたが、ちがっていた。ヴィスコンティ版だけであった、恥ずかしい。。。 敗戦後のドイツから逃亡したナチ関係者を躍起になって逮捕しようとする米国の警察の…
「À bout de souffle(「勝手にしやがれ」)」ジャン=リュック・ゴダール、1960、フランス ゴダールの処女長編であり、かつヌーベルバーグの古典でもあるこの作品をはじめて観る。 自堕落に生きる主人公は、米国映画にうつつをぬかしたり、格調ふかいパ…
「L'Année dernière à Marienbad(「去年マリエンバートで」)、アラン・レネ、1961、フランス・イタリア 古典中の古典のひとつで、脚本はヌーボーロマンの旗手アラン・ロブ=グリエ。 はじめてみたのは何十年もまえのこと、もちろん、ちらりと覗いたく…