2011-01-01から1年間の記事一覧
カフカの作品をわたしたちはどのように受け止めればいいのか、それをどう育んでいけばいいのか。 ここで狂言の言い回しやら、おどろおどろしいかたちでの、デフォルメされたかたちでのカフカが誕生。 これは知る人ぞ知るアニメ界の怪作であるが、その到達度…
なによりもMonica BellucciとVincent Casselという顔合わせが眼をひく。しかしもう15年もまえの作品で、まだ人気はそれほどではなかったのかも。 見方によっては通俗的なメロドラマのようにもみえるが、ひとつの部屋をめぐって、ドッペルゲンガーというよ…
スターリン治下のソ連にて、罪状をでっちあげられたひとをふくめ、シベリアの強制収容所へとおくられ、厳しい強制労働をしいられる。 このテーマでは、ソルジェニーツインの作品が有名で、このような強制労働のなかでひととひととの結びつきにおおいに意味を…
中央アメリカのニカラグアでは、独裁者ソモサ大統領を革命によって追放し、ついで革命政権を樹立させたが、米国のCIAの後押しにより、コントラとよばれる反革命勢力の脅威に苦しめられた。 同志を傷つけられ、イギリスの地にて沈みきったニカラグアのおん…
いわば見込み捜査のようなもので逮捕され、実刑をうけるにいたる。 警察側とすれば、なんとしてでも犯人をでっちあげなくては(もちろん、メキシコだけのはなしではないが)。 ひとたび、司法システムのなかで犯人としてでっちあげられたら、ひとたまりもな…
もう一度、ドキドキしよう.宣伝用コピーはうえのとおりで、すでにニホンで公開済みらしい。 主人公のおんなのひと、ピッパはつねに周囲に翻弄されるように生きてきた。 それはたんなる被害妄想ではなく、いろいろなことを味わってきて、ときにはいくらか後ろ…
メキシコの都市生活におけるユダヤ人世界のありさまが、ある老女ノラの死をめぐって描かれる。 その前夫ホセもちかくに住んでいるし、息子一家も遠くから駈けつけてくるが、その前夫はどうもユダヤ教に牛耳られたユダヤ人社会に嫌悪感を抱いているようで、話…
22チャンネルにて。 古い建物に長いこと住む住人が、建物改修を名目に退去を命じられる。 街の再開発というと聞こえはいいが、すべては利権がらみで、もちろんメキシコでもおなじことが起きている。 住民もいろいろな種類のひとたちがいて、その人間模様を…
アリシアはごく普通の家庭に育つ二十歳まえの女の子であり、自分を知るため、世界の果てをきわめてみたいと思い、単身、世界の果てへと旅立つ。 目的地はパタゴニア、氷と雪につつまれ、自分になにができるか、自分になにが起こるか、じっと見つめたいと思う…
四人ほどの子どもがいる、富裕な家庭にて女中をつとめるラケルはもう二十年以上、この家族に身をささげている。 じつに働き者のラケルを思いやって家族は、仕事の軽減をはかるべく、もうひとりの女中さんを雇う。 しかしラケルは、保守本能が働き、他の女中…
富豪実業家の息子が、やや階級のことなる女の子と結ばれて、幸せそうに暮らすがしだいに行き違いが目立ち始め(あまり具体的には描かれてなかったと思う)、その息子も実務家として成功するものの、私生活面ではかなり利己的。 しまいには奥さん、その女友達…
ひとの生というのは蓋を閉めてみるまではわからないとよくいわれる。 そのいっぽうで、生きてるあいだでもいくらでも充ちみちた幸せを感じ取ることもできるはずだ。 はたしてどちらがより真実にちかいものなのか。 たとえば企業人として、公的な顔の部分では…
イランの山間部の集落である婦人がその夫のたくらみによって不貞の嫌疑をうけ、叔母たちが必死に守り抜こうとするものの、最後は怒る村人たちによって石打の惨い刑に服し、死亡するという怖ろしい話。 その社会に蔓延するマチズムとともにイランの女性のおか…
かつてはよくニホン映画週間なるものを企画していた。 大学の文化局の講堂をその場所とし、作品は大使館から借りてきた。 毎年、在外ニホン施設にはニホンの新作映画が送られてくるので、作品選択に困ることはない。 作品はすべて16mm、なぜならDVDだ…
めずらしく韓国映画が上映されていたので覗いてみたら、カンヌでも話題になった作品だという。 しかしストーリーはごく単純で、ミニマル的でもある。 映画監督志望と詩人志望の若い二人の男が、故郷のおなじ港町に休暇を利用して帰るが、奇しくもおなじひと…
メキシコにかぎられたわけではないが、児童売買の問題は無視できない。 たとえ肉親が溺愛しているとしてもこの作品にみられるようにドラッグ中毒者で、何日も部屋にほっておかれるような例は、めずらしいわけではない。 ときのカップルの相手によって児童は…
いまだスペインの植民地、のちのメキシコではカースト(casta)制が根強く、身分制のもとで窒息するかのような雰囲気につつまれていた。 宮廷(貴族界)にて舞踊や祝宴をつかさどる一家は、政治的に苦渋をなめる。 しかしこの社会では虐げられているもののあい…
フセイン独裁の崩壊後、クルド族の父親をさがしに子どもが国中をまわる。 父親は音楽家らしく、湾岸戦争時に拘束されたまま行方不明。 子どもの祖母が付き添う。 一種のロードムーヴィー調ではあるが、戦乱のしたの祖国、それにもかかわらず生命感にあふれた…
階級が異なるが同じように彼方(国境地帯)への思い込みを抱く若い女が、たまたま居合わせ、旅を続けるというところはロードムーヴイー風。 しかし当然、行き違いやら誤解などは多いわけで、いまのメキシコ社会の縮図を彷彿させる。 それでも曲折をえながら…
やはりストーリーを語らなくてはならないと思う。 老年にさしかかったNYの男は人間嫌いでもあり、チェスを教えたりして暮らす。 そこで南部から家出してきた若い女と出会い、かかわらせられる。 日々、男も女の子のことが気になりだし、ついには結婚までにい…
アフガニスタンの荒野、タリバンにより石窟のブッダ像は破壊されるが、難民のような形でアフガニスタン人は石窟に住みつく。 ひとびとは、賃金動労さえあればどこにでもおもむくし、育児などもはや二の次。 わずかな数の子どもだけが学校に通える。 通えない…
むかし、国際交流基金が東アジア映画祭を催したころから、アジア映画に興味をもち、覗き見てきた。 たとえばアジア映画というとき、近代化以前の伝統的社会をどっぷり写し取ったものがいっぽうであり、またもう一方では近代化の渦中でどんな矛盾があらわれ、…
一夫一婦制は不条理であり、人間性にかなっていないとわたしは信じているが、こういうことはどんなに声高に叫んでみたところで揺らぐものはない。 しかし家族形態、夫婦形態、ひとの繋がりというのは歴史を通じておおきく変貌しているもので、ニホンだって平…
アウトドア好きの青年がユタ州の荒野をひとりで自転車で突っ走る。 現代の米国という機械文明の砂漠のなかで、荒野に乗り出すことは自分の回復そのものなのか。 しかし予期しない事故にみまわれ、岩石原の亀裂にはさまれ、身動きできなくなり、そのまま五日…
ウエスタンはあまり好きではない、その美学がしっくりとこない。 おそらくいまだウエスタンの真髄に接していないからではないかと案じてはいるが。 それでコーエン兄弟描くところのウエスタン。 十四歳の女の子が父親殺しの犯人を捜しまわる。 女の子には助…
米国は中西部か、ミズーリ州あたりのいなか、木立が貧相に生える地域で家畜ぐらいが生計のたしになる。 父親は失踪、母親は鬱病か、それで妹、弟たちを育てなければならない十七歳の少女は、ひとりで逆境に立ち向かう。 生計が思うままにならないなか、縁戚…
第二次世界大戦をめぐってのイギリスの動きというのは、おおよそ掌握しているものとわたしは思っていたが、史実をたぐってみるとやはり知らないこともそこそこある。 チェンバレンとかチャーチルなどが存在感を示すなかで、イギリス国王たちにはどんなことが…
美とは怖ろしいものである。 ドストエフスキーが、あるいはミシマがそれを語ったりする。 ひとが内的リアリズムの軸を美学だと定めたとき、その美とは完全性とつねに一体化するがゆえに、えてしてひとは自分を見失いさえする。 ほかのひとからは、うつろな、…
フランスにて幼い息子をあいだにはさみ、深く愛し合うカップルの奥さんのほうが殺人の冤罪によって刑を科される。 状況証拠からみても判決を覆すことは困難、家族が崩壊の淵に立たされることをみかね、温厚だったはずの夫が綿密に脱獄計画を練り、目的が手段…
ウッディ・アレン、41作目だという。 もうここまで来ると、はたして自分の見たのがどれで、見てないのがどれかなんて、しばらく考えないとわからない。 よくいえば職人芸的でインテリさが光り、はずれがない、悪く言えば同工異曲。 しかしこの作品You Will…