イギリス映画「The King's Speech(「英国王のスピーチ」)」、トム・フーパー、2010、イギリス
第二次世界大戦をめぐってのイギリスの動きというのは、おおよそ掌握しているものとわたしは思っていたが、史実をたぐってみるとやはり知らないこともそこそこある。
チェンバレンとかチャーチルなどが存在感を示すなかで、イギリス国王たちにはどんなことが起こっていたのか、イギリスはそもそも国難をいかに乗り越えようとしていたのか。
この作品では、ことごとく歴史の上部構造のみが描かれる。
そして謳い文句のような、イギリスにてもっとも内気な国王。
この後のジョージ六世は、言語障害に悩み、セラピストとともにいかにそれを克服していったかがこの作品でのメインテーマということになる。
たとえ国王であろうと、自分のトラブルを克服するということは、階級などとは無縁に固唾をのんでしまうし、主演俳優(コリン・ファース)に感情移入するのは容易。
このジョージ六世は国政などにはもともと関わりたくなく、ほかにより関心をもっていて、たとえば極東に話を移せば、源実朝などを思い描いてしまう。
しかしながら、必死の言語障害治療中に、アイネクライネナハトムジークが流れてきたところで、これはなんだ、と思ってしまった。
もっともこのセラピストは音楽療法をおおいに用いるので、あるいはわたしのほうのなにかの勘違いかもしれないが。
なぜか拡がりをもたないストーリーのような気がして、それほど気に入らなかった。
(20 de febrero de 2011)