イラク映画「Son of Babylon(バビロンの子ども)」、MOHAMED AL - ARADJI 、2009、イラク

フセイン独裁の崩壊後、クルド族の父親をさがしに子どもが国中をまわる。
 父親は音楽家らしく、湾岸戦争時に拘束されたまま行方不明。
 子どもの祖母が付き添う。
 一種のロードムーヴィー調ではあるが、戦乱のしたの祖国、それにもかかわらず生命感にあふれたひとびとなど、朴訥とした語り口のなかで、たくさんのことを語ってみせる。

 クルド族は、きまった土地をもたずイラクの国境あたりに住んでいるためにむかしから戦禍にくるしみ、迫害されてきた。
 そんなクルド族の歴史を知らずに見ることはできない。
 ごくあたりまえのイラク人の被った苦しみともちがう。

 けっきょく、収容所をまわったあげく、父親は死亡していることがわかる。

 苦しみはつづくが、でも生きることは苦しみばかりでもないことを呟いているといった雰囲気が感じ取れる。


(27 of april, 2011)