チリ映画”La nana"(女中さん)、Sebastian Silva, 2009, チリ

四人ほどの子どもがいる、富裕な家庭にて女中をつとめるラケルはもう二十年以上、この家族に身をささげている。
 じつに働き者のラケルを思いやって家族は、仕事の軽減をはかるべく、もうひとりの女中さんを雇う。
 しかしラケルは、保守本能が働き、他の女中さんにことごとくいじわるをなす。
 三人目の女中さんは開けた、鷹揚な女の子で、ようやくラケルも打ち解けることができる。
 かのじょをとおしておおくのことを学び、やがてかのじょも去っていくが、はじめてラケルは自分のことを考えて前向きに生きようという気持ちになる。

 このラケルのように教育の恩恵をこうむっていないと、しばしな偏狭なこころの持ち主ができてしまう。
 そんななか、このラケルのこころのうちを丹念に追い、もちろんそこの家族をも正確に描いているという点で、実直かつ内的リアリズムの勝利といえそう。
 ガーエル・ガルシアらのプロダクションがメキシコにて上映、こんかいはわたしはDVDで見る。

(06 of June, 2011)