メキシコ映画"Cinco Dias sin Nora(Five days without Nora)", Mariana Chenillo. 2008,Mexico

メキシコの都市生活におけるユダヤ人世界のありさまが、ある老女ノラの死をめぐって描かれる。
 その前夫ホセもちかくに住んでいるし、息子一家も遠くから駈けつけてくるが、その前夫はどうもユダヤ教に牛耳られたユダヤ人社会に嫌悪感を抱いているようで、話がこじれていく。
 それに前妻の素行にも疑いをかけているようで、ホセは翻弄される。
 やがてひとが集まってきたり、話がぐるぐるまわったりするが、話自体は綿密にコントロールされていて、制作者のナラティブ能力に感心。
 しかしいくらユダヤ人という特殊な環境だとはいて、家族とかの価値観はかなり普遍的なものもあるし、ノラもじつはかなり賢明で、意固地なのはホセのほうだとわかる。
 巧みな名作にあたいする。

(17 of June, 2011)