映画を見せるときに気負ってしまう時代
かつてはよくニホン映画週間なるものを企画していた。
大学の文化局の講堂をその場所とし、作品は大使館から借りてきた。
毎年、在外ニホン施設にはニホンの新作映画が送られてくるので、作品選択に困ることはない。
作品はすべて16mm、なぜならDVDだったりするとコピーされる怖れがあるかららしい。
所蔵リストを眺め、なにかテーマをきめて編むといい、たとえばニホンの働く女性シリーズだとか。
映画を映しっぱなしではなく、上映がおわるとトークを催した。
本来はニホン語の学生向けのものだが、大学近辺のひまなおじさん、おばさんもよく来るようになったのは無料だからでもある。
だがもう何年も休止。
風向きがかわったので、来月の初めにふたたび実施してみようという気になった。
このあいだ、大学の文化局の映画課のボスと話にいった。
すると、16mmの映写機なんてあるにはあるが、もう何年も使ってないという。
いまの文化局での映画上映というのは、ネットから下ろした作品の上映のことをいうらしい。
よく考えるとたしかにそのようで、いまごろ、映画フィルムの保管なんて場所もとるし、危険でもある。
それにいまは(海賊版)コピー花盛りだから、わざわざ映画を見るために暗闇になど紛れ込むことは必要なく、そのへんの市(いち)では、ニホンのでも韓国の映画でも公開されていないものも含めてずいぶん並んでいる。
わたしなんかは頭がふるいから、ニホンの名画を上映するということは、すなわち、ニホン文化の紹介・啓蒙に役立つことと思いたいが、そんなに気負った態度なんて笑い物になるだけかもしれない。
映画は、暗闇の快楽であったはずなのになぁ。。。
(16 of May, 2011)