米国映画「You Will Meet a Tall Dark Stranger 」、 Woody Allen, 2010, 米国

 ウッディ・アレン、41作目だという。
 もうここまで来ると、はたして自分の見たのがどれで、見てないのがどれかなんて、しばらく考えないとわからない。
 よくいえば職人芸的でインテリさが光り、はずれがない、悪く言えば同工異曲。

 しかしこの作品You Will Meet a Tall Dark Strangerは、その軽妙さの裏にかなりへヴィーなものも隠されていて、あとに残る。

 ある家族のなかで、男と女の仲がうまくいかなくなり、ほかのカップルの成立をそれぞれ志向。
 それが悲喜劇のように描かれるが、やはりこういうことは自分の身がいくら潔くても、意志とは関係のないところで転がるように発展していってしまう、ちょうど“業(ごう)”のようなもの、へたに逆らわないほうが身のためかも。
 ほんとに、ときとしてひとは勝手である、でもそれをだれが避難できるだろうか。
 おそらくお釈迦様あたりは、人なんておおかたこんなていどの人物でしかないと悟っているような気がしてくる。


( 1 de febrero, 2011)