メキシコ映画「Viaje Redondo(「往復旅行」)」、Gerardo Tort 、2009、メキシコ

階級が異なるが同じように彼方(国境地帯)への思い込みを抱く若い女が、たまたま居合わせ、旅を続けるというところはロードムーヴイー風。

 しかし当然、行き違いやら誤解などは多いわけで、いまのメキシコ社会の縮図を彷彿させる。

 それでも曲折をえながら、理解がすすみ、お互いをさらけ出すことによって、自分のほんとうの、本来の願望に気づき、自分と自分のまわりがよく見えてくる。

 メキシコでは階級間の利益やら感性があまりにちがい過ぎて、おなじくにを形作っているのがほとんど幻想ではないかと思えるほどであるが(おそらくメキシコだけではないだろう)、それでも通じ合えるものを見出すことはできるという確信がこの作品を貫いているようにみえる。

 米国にわたらなくてもいまのままでも、欲しいものは得られるのだというメッセージもあり。


(03 of april, 2011)