イラン映画「 Buda as sharm foru rikht (「子供の情景」、Hana Markhmalbaf、2007、イラン

アフガニスタンの荒野、タリバンにより石窟のブッダ像は破壊されるが、難民のような形でアフガニスタン人は石窟に住みつく。
 ひとびとは、賃金動労さえあればどこにでもおもむくし、育児などもはや二の次。
 わずかな数の子どもだけが学校に通える。
 通えない子どもたちは徒党を組んで、大人のまね、つまりタリバンのごとくふるまう。

 六歳の女の子は子守のみの毎日で、隣の家の男の子は学校に通う。
「木の下で男が寝ている。風が吹いて胡桃が落ちて男の頭にぶつかる。男は立ち上がって呟く。「ああ、胡桃でよかった、南瓜だったら頭をけがしている」」
 そんな男の子の朗唱にあこがれ、女の子はどうにかして学校にたどりつこうとし、まずはノートや鉛筆を手に入れようと奔走、このあたりのいじらしさは圧巻。
 しかし学校は男の子と女の子とで場所もまったくちがうし、妬むような子どもたちの邪魔に苦しみ、散々な目にあう。

 アフガニスタンの子どもの悲惨さを描くが、しかし一方で、教育と国家というのはつねにリンクされているので、微妙な価値判断もまぎれこんでくるので、ただ憐れんでいるだけではおあわらない。

 ニホンでもフィルメックスにて上映ずみ。


(30 de marzo, 2011)