"Stonning Of Soraya( El Secreto de Soraya)", dir.Cyrus Nowrasteh, 2008, 米国
イランの山間部の集落である婦人がその夫のたくらみによって不貞の嫌疑をうけ、叔母たちが必死に守り抜こうとするものの、最後は怒る村人たちによって石打の惨い刑に服し、死亡するという怖ろしい話。
その社会に蔓延するマチズムとともにイランの女性のおかれた立場に涙する。見ているものの正義感がひどく刺戟される。
しかしそれでも、この話にはいかがわしさがあるのではないかと疑ってしまう。
原作は出版が1990年、いかにもイラン社会の旧弊さを訴える内容。
わたしはすくなからぬイラン映画をこれまで見ていて、そこにこめられたメッセージはかなりユニバーサルなもので、志向性がたかい。
たしかにいまだにイラン社会にはせめぎ合う勢力が存在し、保守的な要素もいまだに根強いが、この作品ではあまりに善悪の二元論に収束してしまっているのではないかと案じてしまった。
たとえばサイードの「オリエンタリズム」で取り扱われるような、西洋社会のイスラムに対する皮相的な見方がありそうである。
まるでヨーロッパ映画のように感じてしまった。
(22 of May, 2011)