米国映画「The Kids Are All Right」、Lisa Cholodenko 、2010、米国
一夫一婦制は不条理であり、人間性にかなっていないとわたしは信じているが、こういうことはどんなに声高に叫んでみたところで揺らぐものはない。
しかし家族形態、夫婦形態、ひとの繋がりというのは歴史を通じておおきく変貌しているもので、ニホンだって平安時代などは一夫一婦制など縁もゆかりもないほどだったはず。
しかも現代は同性婚が社会権を得ている。
この同性婚が子どもを持った場合、この人工授精による子どものなかでどんな意識がうまれるものか。
伝統的な父親像、母親像への憧憬もあってか、この思春期のふたりは、生物学的父親を捜し、たまたま行き当り、生物学的父親と関わりをもつようになる。
このレズビアン・カップルにとっては不本意な形ではあったが、最終的には皆で合同する。
カップルの片割れが、この生物学的父親と関わりを持つにいたり、カップル自身も危機をむかえるにいたる。
しかし、にもかかわらず、すべてはうまくおさまってしまいそうであり、こういったあたらしい家族形態を受け入れざるをえないようになる。
ニホンの文芸では、「キッチン」の吉本ばななあたりが、あたらしい家族形態に示唆をあたえたように記憶しているが、こうして、大家族制から移行した核家族なるコンセプトも中から変化していくようにみえる。
(24 de marzo, 2011)