メキシコ映画「La otra familia(ほかの家族)」、Gustavo Loza、2010、メキシコ

メキシコにかぎられたわけではないが、児童売買の問題は無視できない。
 たとえ肉親が溺愛しているとしてもこの作品にみられるようにドラッグ中毒者で、何日も部屋にほっておかれるような例は、めずらしいわけではない。
 ときのカップルの相手によって児童は、お金によって売買されるにいたる。
 国内であろうと、国外であろうと。
 そしてその各ケースは似通っているようでいて、一面的には判断できないときもある。

 一方でこの作品では本来、まったく別のテーマが盛り込まれる。
 ゲイ・カップルへのはじめは強制的子どもの世話、それはやがて同意による共生にまでいたる。

 このふたつの要素が接続し、ストーリーは波乱をおび、複雑な展開をみせる。

 あまりに大胆な設定ゆえに、たとえばはじめはゲイ・カップルへの風刺的な要素があったり、腰がすわらないような筋もあり、いささか消化不良の観もある。
 しかしいくら不満な点があるにしても、これだけ問題を浮き彫りにしたという意味はおおきいだろうとわたしは判断した。

(もっとも映画や文学作品で、社会を描写しようと思うときは、つねに社会が一歩先んじていて、表現メディアはただ追いかけていくようなかたちになるものだが)


(2 of May,2011)