スペイン・メキシコ・米国映画「Perdita Durango(「Dance with the Devil」)(1996)

・「Perdita Durango(「Dance with the Devil」)、Alex de la Iglesia、スペイン・メキシコ・米国(1996)

 ペルディータとよばれる性悪な、しかしあやしい魅力のおんなと、ハビエル・バデム演ずるこれまたあやしげな強盗やらブードゥーめいた秘教の祭司がからみ、米国・メキシコ国教あたりでつぎつぎと信じられないような犯罪をおかしていく。

 このバデム、このあいだの「ノーカントリー」でも不気味な悪役がはまり役であったが、ここではより奔放な、おどろおどろしい役柄で、悪趣味ともいえるほど。

 ごくあたりまえの米国人の若いカップルを儀式の犠牲用にさらい、そこでもひと悶着おこす。

 しかしより上のマフィアと話をつけ、トレーラーの輸送にかかわるが、裏切りにあう。

 このふたり、善と悪を越えてしまったような、狂気と紙一重の行為を繰り返し、観るものは勧善懲悪などというなまくらな世界に別れをつげ、よこしまな道にそまっていく自分を見出す。

 このくらい価値観をシェイクさせる作品はめずらしく、さすがゲテモノ趣味のこの監督と思わせてしまう。

 さいごの大団円では、やや当たり前な動きにはなっているが。

 ニホンではゆうばりにて上映されたことがあるらしい。


(2009/03/01)