米国映画「Torch Song Trilogy(「トーチソング・トリロジー」)」(1988)


・「Torch Song Trilogy(「トーチソング・トリロジー」)」ポール・ボガート、米国(1988)

 ゲイのアーノルドの愛情生活を丹念に描く。
 エンターテーナーとして喝采をはくしながら、おとこの遍歴をつづける。
 しかしゲイのおとこ関係も異性関係とおなじように、愛別離苦にみちていて、一般的にホモ関係はどろどろとしたものという印象があるが、ここではソープドラマのようで、そのときそのときの気持ちの動き方が繊細かつ豊かで、その細やかさにうたれる。

 しかしゲイたちは、その家族・親族関係で苦しんでいるようで、それだけコンプレックスを意識させられる。
 しかもアーノルドの場合はユダヤ人、母親のかかわりに心底つかれきるのは、フィリップ・ロスの小説を読んでいるかのよう。

 ついにはアーノルドは養子を採るにいたり、母親の不興はつよまる。
 核家族での性の志向が、いかに人格全体に影響をおよぼしてくるか。


(2008/11/15)