「The Stranger」Orson Welles, 米国、1946

・「The Stranger」Orson Welles, 米国、1946

 カミュの作品の映画化だったのではないかと見始めたが、ちがっていた。ヴィスコンティ版だけであった、恥ずかしい。。。

 敗戦後のドイツから逃亡したナチ関係者を躍起になって逮捕しようとする米国の警察の専門刑事。

 おとり捜査を考案し、強制収容所の所長を解放し、陰の実力者を捜させる。

 米国社会に潜伏し、名誉ある教職にもつき、美貌で社会的地位もある女性と結婚する前夜に旧所長の訪問をうける男を演じるのがウエルズ自身。

 追い求める刑事、街のひと、刑事にかかわらされる女性の弟、それに当の旧ナチ逃亡者、それらの絡み合いは性格悲劇を思い起こさせる。

 新婚であるふたりのやり取りも、密度が濃い。
 すごくよい作品ではないが、きっちり、ていねいにこしらえてあるという感じ。


 それにしても、当の米国に潜伏・同化できるというのは、すごい発想、ふつうは南米であるのだが。
 製作が終戦の翌年であるから、すごくアクチュアリティにめぐまれたものであったのだろう。

 夕べ、11チャンネルにて観る。



(2008/11/10)