2013-01-01から1年間の記事一覧

メキシコ映画“El sueño de Lu(ルーの夢)”, Hari Sama, 2011, Mexico

“El sueño de Lu(ルーの夢)”, Hari Sama, 2011, Mexico かつてはクラシック創作ギターの名手であったル―は幼い息子を亡くしてからというもの、生きる気力を失っていた。やっと生きていくのが精一杯。おなじように息子を亡くした母親の会にも出てみると、心痛…

メキシコ映画“Chiapas. El corazón del café “、Alejandro González Padilla、2012、Mexico

“Chiapas. El corazón del café “、Alejandro González Padilla、2012、Mexico. メキシコもコーヒーの産地であり、おもにベラクルスとチアパスが有名。しかしチアパスのコーヒーは19世紀に頑固なイギリス人の破天荒な努力が実ったもの。この主人公の苦…

アルゼンチン映画“Elefante blanco(白い象)”, Pablo Trapero, 2012, Argentina

“Elefante blanco(白い象)”, Pablo Trapero, 2012, Argentina ラテンアメリカの大都市の周辺部では多くのスラム街が形成され、非人間的な環境のもとで暮らすことを強いられる。一方、カトリック神父には放縦で保守的でしかないものも多いが、人々のことをじ…

メキシコ映画“ルシアのあとで“、Michel Franco, 2012, Mexico

“ルシアのあとで“、Michel Franco, 2012, Mexico イジメというのは世界中で問題になっているが、むかしは陰惨さがなくて単に肉体的なものにすぎなかった。しかも小学や中学、高校もいくらかありえるが、大学教育においてイジメがあるとは、すくなくともニホ…

米国映画“The Sessions”, Ben Lewin, 2012, U.S.

“The Sessions”, Ben Lewin, 2012, U.S. 小児麻痺によって全身を動かすことができない中年の男はいつもヘルパーさんに囲まれているが、ひとりのヘルパーさんに恋したことから性の経験を持ちたいと望むにいたる。そんな希望を担当のカウンセラーが聞き、その…

フランス映画“La délicatesse”, Stéphane Foenkinos & David Foenkinos, 2011, France

“La délicatesse”, Stéphane Foenkinos & David Foenkinos, 2011, France あの「アメリー」のオドレイ・トトゥが主演。建築系会社にて仕事にはげむナタリーはすべてが幸せのなかで生きていたように思えたが、夫の突然の死によってすべてが疑わしくなる(しか…

フランス映画“Comme un chef” シェフ! 〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜, Daniel Cohen, 2012, France.

“Comme un chef” シェフ! 〜三ツ星レストランの舞台裏へようこそ〜, Daniel Cohen, 2012, France. ニホン人はもともとフランス料理に弱い。ニホンでもフランス料理レストランといえば格が高いし、パリとかへいけば、まさにステイタスそのものである。しかし…

米国映画“The master(ザ・マスター)”, Paul Thomas Anderson, 2012, US

“The master(ザ・マスター)”, Paul Thomas Anderson, 2012, US. あらゆる戦争からの帰還兵というのは心の病を抱えているもので、それはヴィエトナム戦争においてクローズアップされたが、じつは朝鮮戦争にもあったことを示す作品があり(「マリアの恋人」)…

フランス映画「Amour」(2012)、ミヒャエル・ハネケ、フランス・オーストリア・ドイツ

「男と女」などで有名なジャン・ルイ・トランティニャン、およびヒロシマをあつかった「二十四時間の情事」のエマニュエル・リヴァの姿をひと目見たいとわたしは思った。 さらに老齢での愛の姿がそこに描きこまれているにちがいない。しかし、はじめこそは甲…

フランス映画“Where Do We Go Now?“、Nadine Labaki.、2011、France, Lebanon

“Where Do We Go Now?“、Nadine Labaki.、2011、France, Lebanon. キリスト教徒とイスラム教徒とが交り合うレバノンの村においては衝突が歴史を通して繰り返され、とりわけ女たちはうんざりしている。ふたたび死者が出たことにより衝突が予想されたため…

ドイツ映画“A Dangerous Method(危険なメソッド)“、David Cronenberg、2011,Germany & Canada

“A Dangerous Method(危険なメソッド)“、David Cronenberg、2011,Germany & Canada ヒステリー患者サビーナをめぐるユングとフロイドの対立はよく知られていて、後に心理分析上で双頭たる位置を築く二人の対立と葛藤が描かれる。もちろん史実に則っているわ…

米国映画“Detachment”, Tony Kaye, 2011, U.S.

“Detachment”, Tony Kaye, 2011, U.S. 高等教育の場というのはいまの社会のなかでもっとも問題が現出している現場のひとつである。ほとんど大人であるかれらは知識以上のものを求めているが、欲しているものを得られることは少ない。そんな現場を欠員があっ…

フランス映画"Potiche(幸せの雨傘)", François Ozon,2010, Francia,Belgium

この今の時代に労使の対立を描くなんていかに時代錯誤かと思えてしまうが、フランスの名監督フランソワ・オゾンはそれをやってのけてしまった。もちろんパロディ仕立てになっている。しかし主演者がドヌーヴとドパルデューということで、さあ、名演を愉しみ…