スペイン映画「Los lunes al sol(「月曜日にひなたぼっこ」)」(2002)

 ・「Los lunes al sol(「月曜日にひなたぼっこ」)」、フェルナンド・レオン・デ・アラノア、2002、スペイン

この作品のスペインの失業者は、造船所の解雇者であり、会社側と対決したすえに、路頭に迷う。
 しかし、会社側にやや妥協気味だったひともいれば、徹底抗戦したひとたちもいるわけで、自ずとちがいが出てくる。
 その失業者たちの家族関係もさまざま。
 求職にはしるが、年齢が弱みになるのは万国共通。
 息子をかかえた者もいれば、奥さんの仕事に身を託して不甲斐なさを味わう者もいるし、独り身のものは自暴自棄にだって走る。
 各人各様であるが、せっぱつまっていることにかわりはなく、いわゆる限界状況に陥る。

 どこにうっぷんをぶつけるべきか。
 結局は、「ロマンチック」な「蜂起」を企て、自らの存在とプライドを誇示(固持?)するような恰好になる。

 この作品での造船不況は、直接的には韓国造船業によってもたらされたもの。
 失業者たちも韓国人にたいして毒づく箇所がある。
 しかし、そこまでで、はっきりとしたショービニズムや排外主義の方向には至らない。

 それが次回作の「お姫さまたち」(2005)では、不法移民たるプロスティツータスとスペインの同業者のコンフリクトが扱われることになる。

 もちろんいまのスペインでの移民者流入にはヒステリックなまでの反応がみられるようで、哀しい話も多いらしい。
 そこから見れば、この「月曜日にひなたぼっこ」は牧歌的でもあるかもしれない。
 怒りのはけ口をどこに求めるかによって。


                    (2007/11/06)