イタリア映画「BAARIA 「シチリア!シチリア!」」 Giuseppe Tornatore、2009、イタリア

イタリアが戦中、戦後をいかに生き抜いていったかを、エピソードの積み重ねによって描く作品だと思った。
 しかし本土ではなく、島嶼部であり、しかもある家族がとりわけ描かれているのに気づく。
 戦中、戦後史といったものをどう語っていけばいいものか、ここではひとつの覚醒史として扱われ、なかでもイタリアの(詩的)コミュニズムの発展史、そしてそれはソ連がらみでひとつの挫折という側面もある。
 階級問題以前に土地闘争という意味もおおきい。
 子どもの健気なさというより、そのしたたかさに感服する。
 そんなことを観ながら学習していった。
 しかし発展していくにつれて社会史ともからみあうのは言うまでもないが、家族史こそが語られて、だからこそ観る者のシンパシーに訴えてくるものと納得させられる。
 その意味では、イタリアの特定の地方に限定されながらの全体小説風だとも気づかされる。
 これだけの話を活字で綴っていくと膨大な量にいたるであろうと感じた。

(15 de enero, 2011)