オーストリア映画「Das Weisse Band(「白いリボン」)」、2009、Michael Haneke 、オーストリア、ドイツ、フランス

 北ドイツの農場にて奇怪な事件が相次ぐというミステリー仕立て、そうでもしなければこんな暗い話に観る者をひきつけておけないといった具合。
 犯人捜しは、まず外部の人間を考えるが、それは困難でもあり、明かされない真相はだれの胸にも宿るにいたる。
 そこであらためてこの話の重苦しさにたえられなくなるのであるが、すべてを救っているようにみえるのは、語り手のもっそりとした、ややぎこちないトーン。
 しかしその語りは静謐さにもみちていて、ちょうどゼーバルトの一連の作品を思い出させる。
 その語り手の恋の話も加わり、やや息苦しさが相殺されるといったところか。






日付表記を正常化 (15 de enero, 2011)