イギリス映画「In this world」、マイケル・ウィンターボトム、2002、イギリス

パキスタンの難民キャンプで暮らすアフガニスタン人の少年と青年という従兄弟が豊かな将来を目指してはるばるイギリスまで陸路で旅をするという話。
 しかしいくつもの国境を渡らなければならないし、いのちの危険はあるし、お金の心配はあるし、これほど苦渋にみちた旅というものがあるだろうか。
 先進国の側は、本音は来てもらいたくはないが途上国、あるいは紛争国からはひとがよりよい国を目指してしまうのは自然でもある。
 この国際関係の上での本音と建前を越えるものはどこにあるのだろうか、人類としての共生というとただ聞こえはいいが。
 フィクションタッチのドキュメンタリーであるが、監督の亡命者たちへの眼差しがなによりもすぐれていて、共感を呼ぶ。

 こういった話のまえでは、沢木耕太郎あたりの話がかすんでしまうのは仕方がない。