メキシコ映画「La perdicion de los hombres(男たちの消失)」、Arturo Ripstein, 2000, メキシコ
冒頭、サボテンの原の道にて二人の農夫が一人の農夫を殴り殺す。
まるで動機なしの殺人のようで一気に謎へと引きずりこまれる。
しかしこの二人は殺した相手を丁重に扱い、どうやら顔見知りないし仲間らしいことに気がつく。
この村はメキシコでは珍しいことに野球が盛んで、休みになれば拙いながらもゲームに興じるが次第に葛藤も増してきて、それは野球以外の私生活にもおよんでいく。
しかも殺された男はふたりの奥さんと関わっていたらしく、その二人の女が争い始める。
かくして話は錯綜していくが、リアルさにみちていて、さながらフアン・ルルフォの話が紛れ込んだようである。
いなかの物語であるからわたしにすべて聴きとれていたわけではないが、そのリアルさに圧倒されたしだい。
監督はメキシコでもっともオーソドックスな、ベテラン。
その仕事はじつに手堅い。