メキシコ映画「De Día y de Noche(昼と夜)」、Alejandro Molina, 2010, メキシコ
メキシコ映画としてはめずらしく未来をあつかうが、いまさらユートピア世界にはなりそうもなく、開高説くところのデトピア物。
つまり将来のさらなる人口過剰のゆえに、人は昼間に活動するひとたちと夜に活動するひとたちとに国家によって二分される。
しかしそれに反抗する数人がここでは主人公として現われる。
野心的な作品といえるが、実際は未来の過酷さというものはよりシビアなはず。
かつて、おおらかに未来を信じられる時代があり、未来学などというものも流行ったものだったが、現実はそれを見事に裏切っていくように見えてきた。
たとえば映画でいえば、ブレードランナーの世界か。
だから単純に人口問題だけに還元できるものではないはず。
ただし未来の問題といってもいわゆる先進諸国と、発展途上国とではあきらかに問題の質がことなるはず。
かつてメキシコにて、ダニエル・デフォーの「ペスト」という作品がガルシア=マルケスの脚本によって映画化されたことがあるが、メキシコではペストが発生した場合、まず貧困問題がからんでくると描かれていた。
メキシコの未来もいままでの社会問題なしにしては考えられないものと思う。
この作品、よいかどうかほんとうはわからない。
見ているあいだ、未来の問題についてわたしはあれこれ考えこんでしまっていた。
(16 of October, 2011)