ドミニカ共和国映画「jean Gentil」Laura A. Guzmán、Israel Cárdenas, 2010, ドミニカ共和国、ドイツ、メキシコ

ジャンはハイチから隣国のドミニカ共和国へと渡り、仕事を捜すがすべて無駄足に終わる。英語、仏語、西語などに堪能、かつ会計士でもあるが、不景気のためもあって、建築あるいは土木作業員とかしかない。しかし不平を口にすることはなく、祈りと神との対話だけで生きていて、仕事が見つからないことで街を離れ、山間部に移る。「わたしは生きてはいない、人々が生きているのを見ているだけだ」が口癖。ジャンは生きていくために戦うことはせずに内省的な、自分のなかへなかへと逃れていく。かれはなぜ現実逃避的になってしまったのか。貧しき怒れるひとたちが立ち上がらなければ世界なんて決して変わりはしない。同情はするが、見ていて情けなくなるのもじじつ。

(09 of October, 2011)