フランス映画「Partir」、Catherine Corsini 、2009、フランス
フランスにて裕福な医師の妻が、ふたたび整形医として自宅で開業しようとしたとき、スペイン人の作業員と恋に陥ってしまう。
スザンヌは思春期の娘と息子がいながら、家庭というものに窒息感を抱いていた。
ここで窒息感を感じることが正当であるかもまず問われなくてはならないが。
そしてフランスにて不確かなスペイン人作業員と盲目的に突きすすみ、もはや自分を見失い(解釈によってはじめて自分を見出したともいえるが)、夫はもちろん立腹はするが、いつでもふたたび受け入れようという姿勢をみせる。
しかしスザンヌはもはやどこにも戻れなかった。
見ていてじつに愚かしく、くだらなく思った。
どこかで陳腐さを抜け出す筋が突出してくるかと期待したが無駄だった。
いわば、アンナ・カレーニナのプチ・悲劇版というところであるが、まあ、それも当事者でないから言えることでもある。
この四十をいくつか越えたスザンヌには、この種の作品では異例であるが、見ていてあまり感情移入することはできず、それはこの女優さんの演技力の勝利だとわたしは思った。
さいごは、未来を信じることができず、スザンヌは自害するところであろうが、逆に夫のほうを殺害。
これはニホンのようなウエットな土壌では考えられないこと。
つまらない、つまらない、とは思いながら自分ではけっこういろいろなことを考えていた模様(笑)。
(02 of October, 2011)