米国映画「Biginners」、Mike Mills, 2010, 米国

妻を亡くしたあとの男、つまりオリバーの父親はゲイになり、宣言する。
 それからはゲイ仲間との交流もおおくなり、年若き恋人もできる。
 そんな父親をやきもきして見守るオリバーであるが、父親は末期がんに陥り、自宅にてゲイ仲間に見守られながら亡くなる。

 一方のオリバーはかつての恋人とよりをもどす。

 淡々とした展開であるが、その静けさの中でゲイの宣言はもはや突飛なものとしては受け止められない。
 そして老年と死が背景となっているだけに、これほどまでの落ち着いた語りになりえているらしい。

 それにしても、これほどまでにゲイに魅惑されるひとが多いということは、現代社会がそれほどまで抑圧的であり、それへの抵抗としての存在意味もあるのではないか。
 もっともかつてはゲイであることは隠されてきたが、いまは公然と謳歌し、愉しむことが可能になった時代でもあるが。

(25 of September, 2011)