米国映画「Midnight in Paris」、ウッディ・アレン、2011,米国・スペイン
結婚まぢかの若い米国人とその親がパリを訪問。
青年はライター志望であり、パリにぞっこん惚れるが、ついに憧れの戦間期のパリのアーティストに出会ってしまうにいたる。
フィッツジェラルドに始まってヘミングウエイ、コール・ポーター。
あるいはサルバドル・ダリやらピカソやらブニュエルやら。
若いアメリカ人は浮かれきり、さらにはその登場人物までそれ以前への時代へと迷い込んでしまう、つまりロートレックやらゴーガンやら。
それはちょうどドンキホーテが騎士道物語に溺れてしまったように、いにしえのフランスの文化へとアメリカ人はわれを忘れ、婚約者やその親とはそりがあわなくなる。
リアルとフィクションのあいだを巧みに描き切ったこの作品(パロディでもあり)に、わたしは賛辞をおしめない。
(14 of August, 2011)