フランス映画「夜と霧(Nuit et brouillard)」、Alain Resnais、1955、フランス

 いうまでもなくフランスの傑出した映画監督アラン・レネによる、ナチズムの強制収容所、というか、民族の粛清という名目での大量殺人基地(ホロコースト)について語ったもの。
 ドイツ民族と、他の抹殺されるべき民族という、自己と他者というコンセプトをはじめ、ひとを数として処理することなど、けっしてその考察はおわることがありえないもの。

 そんな大義名分とはべつに、ミクロの部分でもいろいろ話がありそう。
 おおむね強制収容所は、ごく田舎びたところ(ドイツ以外)に建設されていて、その建設をめぐっては賄賂などもまかり通っていたらしい、すべてきれいごとで片付くものではない。
 カルロス・フエンテスの小説「脱皮」では、ふたりの若い建築家が出てきて、そのひとりが強制収容所の設計をことわったところ、その後の消息が途絶えたという話あり。
 強制収容所には、娼館まであり、ナチス側に身をゆるして生き延びたような話も最近は表に出てきたようである(全体からみればごくごく例外であったが)。

 最近もソ連の収容所の映画も見たし、このような発想は、けっしてナチズムにかぎったことでなく、人類普遍の問題だととらえるべき。

 今回はDVDで見たが、ネットでも全篇見られるらしい。


(13 of August, 2011)