メキシコ映画「Perpetuum Mobile」、Nocolas Pereda、2009、メキシコ
ガビノは、引っ越し屋をひとりの仲間と細々と営むながら母親と住む。
家族やら血のつながりが薄くなり、このふたりもただひっそりと、ぎりぎりに暮らすのみ。
ガビノは、引っ越しを通して他の家庭を覗き見て、やりきれない思いを抱く。
つまり引っ越しというのは、出発の場ではなく、別れの場であり、その別れといっても様々なものがある。
ガビノにとっては毎日が綱渡りのようなもの、しかし大都会であるだけにひどく仕事にあぶれることはないらしい。
そこでガビノの祖母の死が発見されるが、葬儀を出せるお金もないし、近親者はろくに関心を寄せないだろう。
ガビノと母親は、遺棄的に山中に埋葬するしかなかった。
そこにあるのは貧困感というよりやりきれなさ、母親にしてみればこうして自分の番もめぐってくるということだろうか。。。
はじめは2.30年まえのメキシコ映画のノリで退屈そうであったが、テーマの取り上げ方自体は淡彩風でも突くべきところは突いているので、不完全燃焼感に終始しながらも、こころに残ってしまう作品と化す。
(2010/12/05)