デンマーク映画「Antichrist」、Lars von Trier、デンマーク、ドイツ、フランス他、2009
Willem DafoeとCharlotte Gainsbourgとがぶつかりあう、というと聞こえがいいのだが。
この夫婦が愛の交わりのさいに息子が転落死して奥さんのほうが精神に異常をきたす。
夫はたまたま精神科医であり、奥さんへの治療を試みるが、奥さんの異常は深刻化するばかりで、すべてが増長されていく、デプレッションのみでなく、性への耽溺でさえ誇張されていく。
救いはありえないのか。
ただただ息詰まるばかりで、奥さんの攻撃本能も台頭し、ある時点からは文字通り手がつけられなくなり、夫も決断をしいられる。
月並みで空しいことばにさえ響くかもしれないが、ひとの深淵がえぐりだされ、観るものはトラウマに取り付かれざるをえなくなる。
もういちど、呟いてしまう、救いはどこにあるのか。
(2010/11/17)