スペイン映画「Diario de una Ninfomana(Diary of a Sex Addict )」、Christian Molina, 2008、スペイン
容貌も社会階層的にもめぐまれたスペイン人の女のひとが、性の悦びの充実を求め続ける。
しかし現代社会は欲望を刺戟・増長させるものであるが、みだりにそれに身をまかせると破滅をもたらすことが避けられない。
舞台はバルセロナ。
女のひとが男に身をまかせるとき、多くの場合、男が女のひとの自己実現、社会参加にあまり関心を抱いていないことを知って愕然とする。
しかしこの女のひとの場合、性の悦びのためには他のものを犠牲にしてもかまわないくらいの覚悟であったのに、自分の全的存在がそのままには認められていないことに直面する。
なぜなら男のマッチョ性というのは、男の意識のあらゆるレベルに見え隠れしているからだろう。
かくしてこの作品では、女も男も自己欺瞞を味わうことになる。
いまさら、という声が聞こえてきそうである。
その種のトラブルはずっとまえに提出され、かなりの程度、克服さえされていたのではないか。
あまり期待はしていなかったが、予想通りの展開に終始。
ほんとは見たことを悔いていて、ニホンでこそ知られていないが、そのポルノ性でこの作品はわりと世界で知れ渡っている模様。
惹かれたのは、祖母役でジェラール・チャプリン、およびスペインのわりとメジャーでわたしには印象的なアンヘラ・モリーナが出ていたからである。
アンヘラ・モリーナは、たとえばカルペンティエル原作の「バロック協奏曲」の映画化「バロック」以来、贔屓にしている。
(2010/10/17)