メキシコ映画「El informe Toledo」、Albino Alvarez G. 、2009
フランシスコ・トレドはメキシコの現役の画家のうちではもっとも著名であるが、その全体像が巨大であるだけにどう近寄っていけばいいのかわからない。
しかしここにトレドを扱った映画作品が撮りあがった。
カフカのアカデミーへの報告を出発点、つまりトレドによるカフカのイメージを土台にし、トレドの辿ってきた道を追う。
フランシスコ・トレドというオアハカのフチタン出身の画家は、土俗的な生き物などを描きながら、80年代にはオアハカの生の政治に加わり(つまり政権に抵抗し)辛酸をなめたすえにパリに亡命のような形になる。
しかしのちに達成されるようにすぐさま名声を得たわけではなく、孤独なヨーロッパ生活を送り、メキシコに戻ったのちに内外から注目されるにいたる。
だがふたたびオアハカ市の教員組合と州当局との争いにくわわり、創作のみでなく現実の世界におおきくかかわってきている。
そんな軌跡をこのドキュメンタリー作品は、ときには幻想的に、そしてときには生臭くも焦点をあわせる。
ヨーロッパ的伝統を直接には意識せずにメキシコ性を見事に発揮。
(2010/08/29)