イギリス映画「Dorian Gray」、Oliver Parker 、2009、イギリス

オスカー・ワイルドの手になるこの原作を、恥ずかしながらわたしは読んでいない。
 今回で三度目の映画化だという。
 美貌というか、永遠の若さに自他ともに翻弄される話であるが、本来ならばゴチック性がより濃厚に浮き彫りにされるはずのものかもしれない、そうでなかったら、ただのスリラーものに堕してしまうだろう。
 永遠の若さということでは、カルロス・フエンテスの「アウラ」でも似通ったテーマが扱われていた。
 絵画、とりわけ肖像画というのは、鏡の役も果たす、メタファーの宝庫、そこにて自己が外化されるということ、ほんとうの自分というのはどこにあるのか、そして可視的な自分はどれだけ信ずるにあたいするか、などを考える。
 ニホン公開は未定、しかしコリン・ファースも出ているし、巷の関心は惹くかも。


(2010/08/17)