アルゼンチン映画「El secreto de sus ojos(瞳の奥の秘密)」、 Juan José Campanella2009、アルゼンチン・スペイン

ニホンでは去年のスペイン映画祭で公開済み、それで今年のオスカー賞の外国映画部門を受賞、さらにふたたびニホンでも夏に一般公開が予定されている。
 例によって前もってはなるべく内容を知らずに心して見る。
 
 必死にストーリーを追う。
 劇的かつ、アルゼンチン社会のひと昔まえの美学に堪能しつつ、スリラーということで流れにとりこになる。
 人物も達者、描き方も見事、だれがみても完璧にちかい大作である。
 ハリウッドの大作にけっして劣ってはいない。

 しかしながらわたしは欲張りである(空想家ともいう)。
 コルタサルの「石蹴り遊び」を半世紀まえに生んだくにで、なぜこのような執拗なリアリズム劇が描かれなくてはならないのか。
 すくなくてもラテンアメリカの現代のナラティヴの影響はどこにも見当たらない気がする。

 これなら製作はより容易だっただろうが、ペルーのポテトの女の子の話(笑)のほうが、モダンな感じがする。

(2010/06/06)