メキシコ映画”Daniel & Ana ”、Michel Franco、2009、メキシコ・スペイン

高校生と大学生のダニエルとアナの姉弟は仲がよくてインセストっぽいほど。
 家庭は富裕で、貧乏人がますます貧乏に、金持ちがますます金持ちに、という最近のメキシコを表現している。
 アナは結婚とひかえ、あたらしい人生へと旅立とうとしている。

 そんなさなか、このふたりは車で誘拐され、果ては二人同士で交わるところを強いられ、録画される。
 それで解放。

 いくらインセストっぽいといっても、実際の関係にまでは至ったことがなかっただけに、ふたりともこころの傷はおおきい。
 アナの結婚相手ももちろん金持ち系であったから、この事件はゆすりとか脅迫という線にからんでいくのではないかと観ていて思ったが、じつは意外な展開。

 アナもダニエルも軌道から外れてしまい、アナのほうはセラピーによってやや回復するが、ダニエルは自暴自棄におちこむ。

 どうやら撮影の結果はネットにあがっているらしく、ダニエルは懊悩する。
 はては一時、婚約破棄をきめながらふたたび前にすすむことにした姉に関係を迫ったりする。
 ダニエルのアイデンティティは完全に狂い、セラピーも受け入れない。

 この作品のメッセージはなんなのか。
 未成年ポルノの告発でもあるらしい。
 メキシコは世界の未成年ポルノ三大王国らしく、あらゆる手段でそのようなものが出回っているらしい。

 しかしメキシコのことを笑うなかれ、ニホンの盗撮ブームを見よ!

 クレジットでは、助監督に、カマタ・ヒロミなる名を見る、いかなる人物だろうか?


(05/16/2010)