米国映画"A serious man", Ethan Coen and Joel Coen, 2009, 米国
1960年代の米国にて、ユダヤ人家族の自嘲的、しかしコンプレックスが見え隠れする作品。
コーエン兄弟の作品としては、米国での小市民的ユダヤ人のメンタリティにずいぶんと触れた内容。
日常のこまごまとしたことが丹念に記されていて、うんざりしてきそうであるが、そのようなディテイルがあってはじめて、そのシリアスさのおかしさもにじみでてくる、といったところか。
むしろひと昔まえのユダヤ人作家のスタイルを思い出させる、たとえばフィリップーロスやら、ソールーベローといったところか。
だからコミカルなタッチになればなるほど、そのシリアスさが裏書されているようで、息がくるしくなってくるほどおもしろい。
もちろん生きることの歓びと辛さも綴られているが、そんなことはおそらく映画の魅力にはならないんだろうか。
(2010/02/06)