「ウホッホ探検隊」、根岸吉太郎、1986、ニホン

原作は干刈あがた、このひとの作品はリアルタイムで読んでいた。
 雑誌「海燕」第一回の新人賞。
 いろいろといわくの多いひとらしく、リコン家庭というのが、まだ好奇のまなざしを差し向けられていたころの話。

 単身赴任の夫とその家族の拮抗、夫には愛人ができる。
 ただし、奥さん役が十朱幸代、すごいファンではないが、その存在感と色気には圧倒される。
 対する夫は田中邦衛、そのたよりなさが対照的。
 
 家族は崩壊に瀕するが、あたらしい家族の姿を求めていこうという意志があふれる。
 たかが30年前くらいには、ふつうのひとの世界では試行錯誤が試みられていて、この作品ではうまく前向きにつながっている。

 田中の前で、奥さんと愛人が対峙するシーンがあり、おんなたちの存在感がきらめく。
 その一方でおとこは、おろおろするのみで、成り行きにまかせるしかない。
 おんなはおんなで泣こうが叫ぼうが、それなりに絵になる、しかしおとこはめめしい姿しかさらさない。
 おとこでいることが、恥ずかしくなってくる。

 陣内もアホな役で出てきて、失笑。

 DVDで観る。


(2009/12/11)