スウェーデン映画「Låt den rätte komma in(「Let the Right One In」)」Tomas Alfredson.スエーデン、2008



まずは猟奇性、ついで子どもの世界の野蛮さ、出だしはあまり気が乗らない、というか不快。
 しかしこれがスエーデン都市社会のヴァンパイア神話のヴァリエーションだとわかってくると、さあ、お手並み拝見ということになる。

 主人公のブロンドのマージナルな少年、そしてヴァンパイアたる少女にしてファム・ファタルを演じるこの娘に引きずりこまれないようにご注意。

 スエーデンの大人の(高度福祉)社会における群像、それにからむヴァンパイア。
 ありえない話にみえながらリアリティを積み上げていくことにより、迫力が膨れ上がる。

 はじめは不愉快に思えていた作品が、これほどまでの冴え(グロテスクなものもぬくめて)を見せるとは驚き。

 主人公の少年のイニシエィションでもあるらしい。
 ザンネンながらニホン上映はないらしい。

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 スエーデン高度福祉社会においてヴァンパイアってなにを意味しているんだろうか、と終始考える。

 それからこの作品を見たのはほぼ偶然、ただ時間の関係みたいなもの、それでいて感心する。
 それは縁みたいなもの、ほかの作品を観れば見たでまた感心すると思うけど、そこにはたくさんの作品のなかでなぜこの作品に出合ったのか、という不思議な因縁性への問いかけもあり。
 これもセンス・オブ・ワンダーの一種?


                  (2009/12/07)