アルゼンチン映画「Cordero de dios(「神の羊」)」Lucia Cedron, アルゼンチン・フランス(2008)
アルゼンチンのひとつの家族が、歴史に翻弄されるなかで、いかに生き、浮き上がり、または墜ちていったか。
ひとつの家族のなかでも不一致やら反目がありえて、しかも状況を利用したもの、状況に盾突いたものとさまざま。
21世紀初頭の経済危機のさなか、祖父が誘拐されたことにより、家族は意志を表明することを余儀なくされ、そこから二十年まえの軍政下にての家族成員の秘密が明かされ、おたがいの対立があらためて浮き彫りになる。
祖母の娘は軍政下、夫が政治的にミッシングにあい、フランスに亡命。
この誘拐を機に帰国、しかしその娘とともに身代金を集めにかかって、それぞれの思惑に直面する。
この女性監督自身もおなじような状況のなか、フランスに亡命していた経験もある。
しかしただ軍政を告発するだけでなく、それが社会に、家族にどんな影響をあたえたか、じっくり見つめている。
ただ話が込み入っていて、その詳細までわたしによく理解できたわけではなかったのは残念。
本作品は、サンダンスとNHKが合同であたえる賞により制作が援助されたということらしい。
じじつ、BSでは今年五月四日に放映されたようである、見たかたはいらっしゃるであろうか?
ニホン語のブログでもいくつか取り上げられている。
(2009/08/30)