「 A Short Film Aboutポーランド映画 Love(「愛に関する短いフィルム 」)」クシシュトフ・キェシロフスキ、ポーランド(1988)

クシシュトフ・キェシロフスキ(Krzysztof Kieślowski)というポーランドの映画監督は、たとえばトリコロール三部作で著名であるが、わたしはそのひとつしか見ていない。
 デカローグ・シリーズの評判も高い。

 恥ずかしながらこの監督の作品についてわたしは詳しいとはいえない。
 そう思いながら、この作品を観た、すると、あにはからんや、もう二十年もまえに観たことがあるのを思い出した次第(笑)。

 ポーランドの高層住宅街にて、孤児にちかい内気な青年が、向かいの建物の三十歳前後のおんなへの覗き見趣味を肥大化させ、ストーカーにまでいたる。

 友人の母親に預けられているこの青年は、友人もいなく、まして若い女に近づけるわけがない。
 どんないきさつがあったのかしれないが、このおんなへまつわりつき、ついには告白までつきすすむ。

 もちろんおんなは激怒するが、しだいに青年のことを知り、憐憫の情を向けさえする。

 どこかでこのふたりの結びつきが達成されたということで、ただのスキャンダルに終わるはすだったものが、このふたりの存在を照らし出す結果をもたらす。


(2009/08/13)