メキシコ映画「Mezcal」(2005)
・「Mezcal」Ignacio Ortiz Cruz, メキシコ、2005
Malcolm Lowryの「アンダー・ザ・ボルケイノ(火山のもとで)」といえば、かつてジョン・ヒューストン監督の映画作品でつとに有名。
クエルナバカ市での死者の日(お盆)を扱っていた。
このメスカル、あとで知ったのだが、この「火山のもとで」に基づいた作品だという。
場所はオアハカ州の山間の村、そこのささやかな呑み屋にひとが集まる。ひとが寄り集まり、それぞれの背負った淵に堕ちこんでいくといったところか。
あとから考え直すと、たしかに語りの流れは、ジョン・ヒューストンの作品に類似しているのが分かる。
しかし、登場人物の切なさのみがひしひしと迫ってくる。いわば運命主義とでもいうものか。
語りの構造の分断の仕方、組み合わせ方も独特のものがある。音楽担当もその方面ではよく知られた前衛派。
もうひとつ向こうのメキシコのイメージにたどり着きたいひとにはおススメ。
(2007/06/17)