フランス映画「Ce que mes yeux ont vu - Le mystère Watteau」(2007)

・「Ce que mes yeux ont vu - Le mystère Watteau(「わたしの眼がみたもの」)」、Laurent de Bartillat、2007、フランス

 毎年恒例のフランス映画月間、チョッポにまわってきたのをようやく一本ほど見る。
 この映画、マイナーではあるが、英語名はヴァニシング・ポイントともよぶらしい。

 ルシーは、美術史の学生でワトーに傾倒。
 ワトーにおける女性像やら人物のなぞ、ワトーの私生活に挑む。
 PCをもちいて分析をつづけ、その実生活はわずかなアルバイトの稼ぎで貧しい暮らし、とくに男ともだちとかいるわけではなく、薄幸そうでもある。

 主任教授にはいちゃもんをつけられ、たまたま関りになった街頭静止像役者(mimo)が気になるが、とつぜん、この聾唖者の役者は脳腫瘍のようなものを患い、のちに亡くなる。
 演劇女優の母親とのあいだにもこころの傷をかかえているらしい。

 かくして実生活ではフラストレーションの連続ばかりのルシーであるが、ワトーを執念深く追い回していたおかげで、ついには新発見にいたる。
 あまりに犠牲が多い新発見であるが、自分のフラストレーションをそこから見つめてみる。

 ワトー、およびその周辺についての幅広い知識がストーリーにみちている。
 目的地につけるかどうかわからないが、痛みをもってやみくもに突っ走っていく姿におおいに共感する。


(2008/10/12)