ドイツ映画「ERLEUCHTUNG GARANTIERT (MON-ZEN)」(1999)
・「ERLEUCHTUNG GARANTIERT(MON-ZEN) 」Doris Dörrie、1999、ドイツ
ドイツにて風水師をつとめ、禅に関心のふかい弟が、念願のニホンへの禅寺への修業にでかける直前。
兄が家庭争議にまきこまれ、ひとり取り残される。
兄は弟にすがるようにしてニホンに無理やり同伴する。
まずトウキョウでの珍道中、というか、不良ガイジンっぽさを強いられる。
このあたり、ドタバタ調でもあり、シニカルさが目立つ。
あの「ロスト・イン・トランスレーション」に似通っている。
もちろんそれはニホンの戯画化でもありうる。
しかし夜の大都会でひどいめにあうというのは、べつにガイジンさん特有ではなく、たとえばスコセッシの「After hours」なんて作品でも同様の印象をうけたものだった。
トウキョウの印象はどんなものだったか。
終始、ケータイで話し続ける若者らが描き出される。
当時のトウキョウといえば、路上生活者も目立ち、このふたりもそんな暮らしを強いられる。
しかしふと知り合ったドイツ娘から、ビアホール風ドイツレストランのウエイターをして急場をしのぐ。
そこには和気藹々と音楽を愉しくかなでるニホン人の(あまり器量よしともいえない)女の子たちがいて、カメラははじめて生き生きとしたニホン人を描いているようにみえた。
さて、トウキョウから能登の禅寺までふたりで乗り継ぎ、つらく苦しい修行をうける。
これ、ひとりだったらめげていたかもしれないが、ちょっとは励ましつつ、てきとうにむくれつつ、ホンモノの禅に途惑いながらなんとか自分をあわせていく。
禅寺のひとたちも、いきいきとしていて好感をあたえる。
修行がおわり、ふたりは達成感をあじわう。
底にはヨーロッパ対ニホンという二元論をおいてもいいのだが、この精細のあがらないふたりは、にくめない。
ドイツってこんなにかっこのわるいくにだったっけ?
なんともおかしな兄弟であり、かつ味のあるカルトムービー調でもある。
ニホンでは2002年ごろに公開されているらしい。
(2008/10/07)