アラン・レネ「Coeurs(「Private fears in public places」)」(2006)
・「Coeurs(「Private fears in public places」)」アラン・レネ、フランス(2006)
アラン・レネはどこに辿りつこうとしているのだろうか。
パリにて六人の若くない男女が、たがいにもがきあい、その孤独に悩む。
もともとは舞台劇、室内劇、終始、雪が降り積もりつづけ、その冷え切った気持ちがしんしんと伝わってくる。
そのひとりひとりがそれぞれ孤独に悩んでいるのに、だれにも打ち明けられないし、理解しえることは不可能だ、というのは、ほとんど、西ヨーロッパ全体の雰囲気である、そう決め付けてしまうのはステレオパターンすぎるだろうか。
その孤独の裏にたとえば潜むものは、欲望やらエロチズムだったりする、その意味では、フロイト的でもあるかもしれない。
あるいは、欲望やらエロチズムを通じてはじめて、孤独の意味が浮き上がってくるものだろうか。
おそろしくペシミスティックであり、しかもたいしたストーリーがあるわけではなく、フランス映画はなにも起こらないから好みではないという向きには、けっしてお勧めできないような類の作品。
しかし自愛的、または自虐的傾向をお持ちの方は、唸ってしまうにちがいない。
(ニホン公開は未定らしい)
(2008/06/29)