米国・スペイン映画「Comandante」2003
・「Comandante」、Oliver Stone, 米国・スペイン、2003
オリヴァー・ストーン監督がフィデル・カストロに40時間程度インタビューして成り立ったドキュメンタリー。
ストーン監督もそうだが、フィデルひとりで絵になっている感じ。
意外な発見もあり。
野球好きで知られるフィデルであるが、なんとバスケットボールに興じているシーンもあり。
たしかにキューバのバスケットもいい水準にあり、ウチの体育館にも指導にきてたことあったし。
さすが、一国の元首、老朽車が目立つキューバでも、乗る車はベンツなのだ。
ストーンも突っ込んだことを尋ねつづける。
キューバ危機のこと、キューバが無くなるかもしれない危機だったこと(というか、世界が壊滅に瀕していたのでもあるが)。
ゲバラはかなり直情的であり、ときとしてソ連を真っ向から非難することもあり、フィデルもそれなりに悩んだことがうかがえる。
その手の教科書には記してあるかもしれないが、キューバが米国からソ連に乗り換えたいきさつとしては、米国が、砂糖の輸入割り当てを撤廃したこと、石油の輸出を禁止したこと。
これがキューバにとって決定的であった。
ケネディ暗殺については、ストーンも深い考察をはぐくんできたが、フィデルもオズワルドの単独犯にはおおいに疑問である。
あの距離では照準器があっても、あれだけおなじ標的にむけて銃撃を繰り返すのはムリであるから、とフィデルはいう。
革命初期から、同性愛は忌み嫌われていたが、それも徐々に克服されていること。
革命達成後、その前のバティスタ政権とはことなり、拷問は使用されていないこと。
これはたとえば、レイナルド・アレナスの問題にもかかわってくることで、アレナスは生まれてくる時代をまちがえたのか。
アレナスの映画では狭いところに押し込められるシーンがあったはずだが、はたしてあれが拷問であるのかどうか、意見が分かれそうである。
ヴィエトナム戦争での、キューバの関与、これも一時、こちらのマスコミでも取り上げられた。
軍事関係のキューバ人が、20人ていどヴィエトナムに滞在したが、戦略の研究のような意味があって、戦闘には加わっていないらしい。
ストーンは、未確認情報として、北ヴィエトナム軍は捕虜の拷問時にキューバ人がかかわっていたとかの事実を指摘するが、フィデルにはわからない。
フィデルという人間は、戦争体験のない若者にも八割ていど、支持されている。
歴史的人物として、フィデルの研究はこれから始まろうとしているようにみえる。
(2007/04/25)