仏・米国映画「Paranoid Park(「パラノイド・パーク」)」2007
・「Paranoid Park(「パラノイド・パーク」)」、Gus Van Sant、フランス・米国、2007
ごくごくふつうの高校生が、ふとしたことから、罪とよばれる世界に引きずり込まれて、出口をさがして必死になる。
高校生といっても、さまざまだ。
ただ虚勢をはりたがるだけのものもいれば、生きていくのにたえられないと後ろ向きになっているだけのものもいるはずだ。
そのなかで、ナイーブで、インティミストたるアレックスは、家庭環境もあって、萎縮したままの日々をおくる。
そしてちょっとしたことで墜ちてしまい、墜ちたところでさまよい、もしかして救いはあるだろうかと悩む。
高校の内外の生活が描かれ、これを見る青少年は、まるで自分のことのように思うにちがいない、それこそがじつは狙いのわけだが。
アレックスのなかにたまりにたまり、発酵しだしてもいる想い(苦しみ)に逃げ場をあたえてくれたのは、あまりぱっとしない女の子だった。
あまりにも始原的な、悪魔祓い!
音楽が、映像が、異化作用を意図してでもいるように効果的で、アレックスの心象風景がうかびあがっている。
(2008/04/21)