ルーマニア映画「4 Months, 3 Weeks and 2 Days(「4ヶ月、3週と2日」)」2007
・「4 Months, 3 Weeks and 2 Days(「4ヶ月、3週と2日」)」、Cristian Mungiu(クリスチャン・ムンギウ)、ルーマニア、2007
先のカンヌにてグランプリを受賞した作品で、ほとんど無名の監督は39歳であった。
悪名たかきチャウセスク時代の、人工中絶が禁止されていた頃のこと。
ふたりの学部のルームメイトのうち、ひとりが人工中絶を試みる。
ヤミ堕胎なのでヤミ医者に頼まなければならず、まずは手術場所としてホテルを予約しなくてはならない。
ヤミであるから、ヤミ医者も神経質で、お金の点もふくみ、女の子をやじる。
二ヶ月の妊娠ということになっていたのに、じっさいは四ヶ月をこしているらしく、もめる。
しまいには、不足分をパートナーの女の子が自分のからだで払わなくてはならなかったほど。
ようやく手術をすませ、パートナーは恋人の母親の誕生日パーティーに顔を出さなくてはならない。
そこで恋人に打ち明ける羽目になるものの、堕胎のパートナーのための犠牲について、恋人と口論になる。
おんなが堕胎することについて、おとこにはわからない。
おんなはおんなを助ける、犠牲をしいられてまで。
なぜなら、いつ立場が逆転して自分が助けられるほうにまわるかわからないから。
じじつ、介護役のパートナーも恋人によってどうやら妊娠していることが暗示されている。
チャウセスク時代の息のつまるような雰囲気、およびおんなとしての自覚がよく描かれている。
しかもそれを男の監督が撮ったというのは、りっぱ。
(2008/04/20)